SWOT分析とは?重要性から分析の進め方、注意点までわかりやすく解説!
最終更新日:2024/06/21SWOT分析とは、事業やマーケティングの戦略策定のために、自社の現状を多角的に分析するためのフレームワークです。 自社の強みと弱み(内部環境)、市場や競争における機会・脅威(外部環境)の4つの観点から分析することで、自社の市場機会や事業課題を発見します。
本記事ではSWOT分析の基礎知識から分析の進め方、実施する際の注意点までわかりやすく解説します。
目次
SWOT分析とは?
SWOT分析とは自社の現状を「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4つの要素から分析するフレームワークです。
自社の状況を「内部環境(ブランド力や営業力、価格、品質など)」と、「外部環境(自社を取り巻く市場や競合、法律など)」に分け、さらに内部環境のプラス要因である「強み」とマイナス要因の「弱み」、外部環境のプラス要因である「機会」とマイナス要因の「脅威」の4項目に整理して、クロス分析を行います。
自社を取り巻く環境を分析することで、自社の武器となる強みや強化すべき領域を把握でき、実現性の高い経営戦略やマーケティング計画の策定につなげられます。
企業が持続的な成長を続けるには、自社とその市場環境の詳細な分析が欠かせません。SWOT分析は企業を取り巻く環境を把握できる手法として、長年にわたり活用されてきました。
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SWOT分析の目的
SWOT分析を用いることで、自社の強み・弱みや現状の立ち位置、経営を脅かす脅威など自社を取り巻く環境を客観的に捉えることができます。したがって下記のような目的で用いられています。
- マーケティングや事業戦略の立案
- 長期にわたる経営戦略の策定
- 競合他社の動向分析
- 新規事業の立ち上げ
- 経営資源の最適化
SWOT分析が重要な理由
SWOT分析が重要視されるのは、戦略立案ができることに加えて、以下の2つの理由が挙げられます。
1.既存事業の見直し
SWOT分析は既存事業の見直しに有効です。想定よりも成果が出ていない場合、SWOT分析によって自社の強み・弱みや競合他社との違いを再度確認できるため、これまで見落としていたポイントに気づきやすくなります。改善策が実施されることで既存事業の行き詰まりを解消し、経営改善を図れます。
2.新規事業のリスク回避
新規事業の立ち上げにおいてもSWOT分析は重要な役割を果たします。なぜならばSWOT分析により市場全体のトレンドや競合他社の動向を把握できるようになり、そこから自社を活かせる市場機会を発見できるからです。また自社の強みや弱みといった内部環境も明らかになるため、自社の強みを活かした新規参入が可能になります。
新しい市場で事業を始めた場合、最初は競合が少ないため一人勝ちの状態になりますが、徐々に競合他社が参入し、ブランド力や資金力で負けてしまうことがあります。SWOT分析を行うことで、競合他社に負けない要素を把握でき、新規事業の失敗リスクを減らせます。
SWOT分析の要素
SWOT分析は以下の4つの要素で構成されています。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
ここからはそれぞれの要素について詳しく解説します。
Strength(強み)
Strengthは自社製品・サービスの長所や得意分野など、自社にとってプラスの環境を与える要素を指します。例えば以下のような項目が該当します。
- ブランド力
- 市場シェア
- 顧客満足度
- 技術力
競合他社の多い市場で打ち勝つには、他社にはない自社の強みを見つけることが大切です。その強みを最大限に引き出し、自社でしか提供できない製品やサービスにまで高めていくことで、競争優位性の確立につながります。目標達成に向けて企業は自社の持つ強みを正確に理解し、製品やサービスに落とし込むことが重要です。
Weakness(弱み)
Weakness(弱み)は、自社製品・サービスの弱点や苦手分野など自社にマイナス環境をもたらす項目があてはまります。
- 顧客ニーズに対応していない項目
- 新規獲得体制
- 知名度
- 離職率
自社分析で見落とされがちなのが、自社の弱点です。強みにおいてはしっかりと理解できているものの、弱みについてはあまり把握できていない企業が多く見られます。
競合他社と照らし合わせ人材や資金、情報発信の方法などを振り返り、自社が苦手とする分野を洗い出して検証します。自社の弱みがわかることで、問題点の把握および改善につながります。
Opportunity(機会)
Opportunityは社会や市場の変化などによって、自社や自社製品・サービスに対しプラスに働く外部環境を指します。
- 政治
- 法改正
- 社会情勢
- 技術革新
- 競合他社の動き
外部環境は内部環境と異なり、自社ですべてコントロールすることはできません。そのため与えられた条件の中で、適切な経営戦略の立案や意思決定が求められます。
近年は社会情勢の変化により、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味するVUCA(ブーカ)の時代であるといわれています。天災や戦争など、事業環境の変化が激しい現代において、企業が外部環境を分析することの重要性が増しています。
Threat(脅威)
ThreatはOpportunityと対照的に、自社でコントロールできない外部環境のうち、自社や自社製品・サービスにとってマイナスになる環境要因を指します。具体的には、以下のような自社の強みを打ち消してしまう脅威がThreatです。
- 競合他社の台頭
- 市場の縮小
なかでも競合他社の台頭は、競合他社の増加を招くだけでなく、新規参入企業にシェアを奪われる可能性があり、業界内のポジションに影響を与えます。
外部環境は自社の企業努力だけでは対処し辛い部分がありますが、SWOT分析により自社の脅威が明確になることで、迅速な対応を取ることが可能です。
SWOT分析の進め方
SWOT分析の理解が深まったところで、ここからは実際の分析方法について解説します。SWOT分析の進め方は以下の4つのステップに分けられます。
- 1.目的・目標を決める
- 2.外部環境を分析する
- 3.内部環境を分析する
- 4.クロスSWOT分析の実施
基本的な流れとしては、目的・目標の設定後、内部環境と外部環境をそれぞれ分析し、両方をかけ合わせするというイメージです。あわせて分析の際に役立つフレームワークもご紹介します。
STEP1.目的・目標を決める
まず最初にSWOT分析を行う目的や目標を明確にしましょう。目的や目標を具体化することで、SWOTに必要な情報を無駄なく集められます。また目的や目標がはっきりしていることから、分析を進めているうちに方向性がズレたとしても気づきやすく、早めの軌道修正が可能になります。
情報収集に役立つフレームワーク
目的や目標を決める際に欠かせないのが情報収集です。客観的なマーケティング環境の情報を集められるフレームワークを利用すると分析しやすくなります。代表的なフレームワークには3C分析が挙げられます。
3C分析
3C分析とは「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Competitor)」の3つの要素から市場環境を分析するフレームワークです。自社の事業戦略を決定するための情報収集として活用できます。
3C分析を通して、それぞれの要素からKSF(Key Success Factor : 成功要因)を導き出せます。KSFは企業が目標達成を果たすために、どのような要因が必要かを具体的に表したものです。
KSFがあることで、現状と目標のギャップを把握でき、目標達成に向けた行動やタスクが明確になります。共通認識ができると、社内やチームにおけるコミュニケーションや意思決定がスムーズになるため、ぜひ実施しておきたいフレームワークです。
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STEP2.外部環境を分析する
目標・目的が定まったら、外部環境の分析に入ります。SWOT分析には大きく4つの要素がありますが、内部環境は外部環境の影響を受けることから、まずは外部環境であるOpportunity(機会)とThreat(脅威)の分析を優先しましょう。
市場や経済、法律、競合他社の動きなどの要素から、自社にどのようなビジネスチャンスがあるのか、どのようなリスクがあるのかを見つけます。
機会(O)の見つけ方
「機会」では、自社を取り巻く市場環境の変化や、競合他社の動向をチェックします。その際は自社目線ではなく、第三者目線に立ち、外部から自社を見つめ直す視点で見るのが望ましいです。
<機会(O)の例>
- 同業他社にはない製品やサービスがある
- エリアに同業他社の店舗がない
脅威(T)の見つけ方
外部の環境において、目標達成の妨げとなるマイナス要因を分析します。たとえば社会・経済情勢や市場動向がこの脅威にあたります。マイナスに働くことが予想される「脅威」ですが、分析によってリスク回避だけでなく、新たなビジネス機会の創出ができるなど、多面的に考えるようにしましょう。
<脅威(T)の例>
- 業界規模が縮小している
- 競合他社が台頭している
- 近隣エリアに競合店舗がオープンした
外部環境分析に役立つフレームワーク
外部環境の分析に役立つフレームワークとして、PEST分析とファイブフォース分析が挙げられます。
・PEST分析
PEST分析とは、自社の属している業界を取り巻く外部環境を、「政治(Politics)」、「経済(Economy)」、「社会(Society)」、「技術(Technology)」の4つの観点から分析するフレームワークです。自社ではコントロールできない外部環境を整理・分析することによって、将来起こりうるリスクやチャンスを事前に予測できます。
・ファイブフォース分析
ファイブフォース(5フォース)分析とは、「業界内の競合」、「代替品の脅威」、「新規参入者の脅威」、「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の5つの要因を切り口から業界内の脅威を明らかにし、収益性の向上を図るフレームワークです。競合他社や業界全体を分析することで、自社の立ち位置や優位性を把握できます。
企業は規模の大小を問わず、常に激しい競争社会にさらされています。そのなかでさまざまな要素が脅威(フォース)となり、自社の存在を脅かし続けています。ファイブフォース分析を行うことで競合各社の脅威となる要素を把握でき、自社が取るべき戦略が明確になります。
STEP3.内部環境を分析する
外部環境の分析が終わったら、次は内部環境であるStrength(強み)とWeakness(弱み)を分析します。内部環境の分析は主観的に決めるのではなく、必ず外部環境の分析結果を踏まえたうえで客観的なデータを取り入れるようにしましょう。特に自社分析は確証バイアスに陥りやすいといわれています。
分析の際は、第三者へのアンケート調査や自社が保有するデータなど、根拠が確実な情報をもとに分析することが大切です。
強み(S)の見つけ方
「強み」では「自社製品・サービスが指示されている理由」や「競合他社よりも優れているポイント」を考えましょう。その際は自社内における売上や信頼を獲得している客観的な事実にフォーカスすると、強みを見つけられます。
<強み(S)の例>
- 過去最高の売上高を記録している
- シェア率がナンバー1
- 顧客満足度80%を記録
- 駅前に店舗があり集客しやすい
弱み(W)の見つけ方
「弱み」では「自社のウィークポイント」や「競合他社と比べて劣っている部分」を客観的に整理しましょう。このプロセスで気をつけたいのが、「弱み」と「脅威」の混同です。内部環境である「弱み」は自社の努力によって改善できますが、外部環境にあたる「脅威」は自社でコントロールできる部分ではなく、変えようがありません。それぞれの要素を適切に分類するようにしましょう。
<弱み(W)の例>
- 認知度が低い
- 製品やサービスの質が悪い
- 価格が高い
内部環境の分析に役立つフレームワーク
内部環境の分析が難しい場合は、顧客視点から製品・サービスを分析できるフレームワークが有効です。代表的なものでは4C分析と4P分析が挙げられます。
4C分析
4C分析とは「顧客価値(Customer Value)」「コスト(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つの要素から構成される、顧客目線でのマーケティング戦略立案に特化したフレームワークです。
現代の市場環境は製品ありきではなく、顧客中心のマーケティング戦略が主軸です。いかに顧客に寄り添った製品・サービスを提供できるかで、事業の成功が決まるといっても過言ではありません。4C分析を用いることで、顧客目線に立った思考ができるようになり、顧客ニーズにあった商品の開発や競合他社の差別化が図れます。
4P分析
4P分析とは、4P分析とは、「PRODUCT(製品・サービス)」、「PRICE(価格)」、「PLACE(販促場所)」、「PROMOTION(販促方法」から構成される、企業目線でのマーケティング戦略立案に適したフレームワークです。
最適な価格設定や販売方法といった、具体的なマーケティング施策を決めるのに適しています。さきほどご紹介した4C分析と組み合わせて施策を考えることで、企業の提供する価値と顧客が求める価値を同時に把握でき、より効果的なマーケティング施策を打ち立てられます。
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STEP4.クロスSWOT分析の実施
外部環境と内部環境の分析を終えたら、それぞれの要素を組み合わせて具体的な戦略を決める「クロスSWOT分析」を行いましょう。各戦略は以下のとおりです。
Strength(強み)×Opportunity(機会)
「強みと機会」の領域では、自社の強みを活かして、ビジネスチャンスを作るための施策や戦略を考えます。この領域は自社の最大のチャンスになるため、項目はなるべく多く洗い出すように意識しましょう。特に新規事業の参入やシェア拡大といった、会社のさらなる成長を目指すときに役立ちます。
Strength(強み)×Threat(脅威)
「強みと脅威」の領域では、自社の強みを用いて脅威の影響を抑えるための方法を検討します。ここでは競合他社の存在が想定されるため、強みを軸にした差別化戦略を練ると良いでしょう。
また時に脅威はチャンスになる場合もあります。脅威を取り除く方法として、新しいビジネスチャンスを探すのも効果的です。
Weakness(弱み)×Opportunity(機会)
「弱みと機会」の領域では、自社の弱みを克服しつつ、ビジネスチャンスの最大化を図る方法を検討します。市場環境自体は良好であることから、「強み×機会」に変えられるよう、自社の改善すべき点を洗い出し、改善を図っていきましょう。
Weakness(弱み)×Threat(脅威)
「弱みと脅威」の領域では、自社の弱みを把握し、脅威によるリスクを最小限に抑えるための方法を分析します。具体的には戦略的撤退や事業縮小が挙げられます。
この領域は何も手を打たずにいると、事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。事前に防衛案をしっかりと立てて備えておくことで、安心して事業に取り組めます。
SWOT分析を行う際の注意点
事業戦略やマーケティング施策の立案に有効なSWOT分析ですが、注意点もあります。ここではSWOT分析を行ううえで気をつけたい3つのポイントを解説します。
目的を明確にする
SWOT分析の目的は、実現性の高い経営戦略やマーケティング戦略の立案であり、分析そのものが目的ではありません。現状を把握するための分析がメインにならないよう、あらかじめ具体的なゴールを定めておくことが大切です。
要素の混同に気をつける
分析の過程で生じやすいのが要素の混同です。特に「強み」と「機会」に多く見受けられます。内部環境は自社で制御できますが、外部環境は自社でコントロールできない領域です。それぞれの要素の特徴を理解したうえで、分析を行うようにしましょう。
分析結果を過信しない
SWOT分析は必ずしも万能な分析方法ではありません。SWOT分析のみで自社の課題や外部環境を理解できたと考えるのは早計です。あくまで自社の現状を把握できる方法のひとつとして捉え、過信しないように心がけましょう。
特に外部環境はさまざまな要素が複雑に絡み合っており、ひとつのフレームワークで理解するのは困難です。「外部環境に役立つフレームワーク」でご紹介したPEST分析やファイブフォース分析の併用が効果的です。
まとめ│SWOT分析で効果的な経営・マーケティング戦略を立案しよう
本記事ではSWOT分析の基礎知識から分析の進め方、実施する際の注意点までわかりやすく解説しました。
SWOT分析は自社の強みや弱み、自社を取り巻く環境を分析する手法です。自社の現状を客観的に把握できるため、市場機会や事業課題、見落としていたビジネスチャンスを発見できます。
さまざまなメリットを得られるSWOT分析ですが、前提条件が決まっていなかったり、要素を混同をしてしまうと、SWOT分析の精度が低くなる恐れがあります。そんな時はWebマーケティングに知見やノウハウを持つパートナーに作業を依頼するのも有効です。
CMS「BlueMonkey」を開発・提供しているクラウドサーカスは、これまで2,300社以上のマーケティング支援に携わったノウハウと自社での経験を活かして、ホームページ制作から運用サポート、リード獲得支援まで、ワンストップでサービスを提供しています。ご興味のある方は、ぜひ資料をご覧ください。
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この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ
CMS BlueMonkeyメディア編集部
プロフィール
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまで2,300社以上のデジタルマーケティング支援を行ってきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱えるデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供し、そこから得たデータを元にマーケティング活動を行っている。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意領域で、目的から逆算した戦略的なCMS導入・Web制作や運用のサポートも実施。そこで得たノウハウや基礎情報を、BlueMonkeyのコラムとしても発信中。
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