IRサイト制作の費用相場は?|制作・運用コストと費用対効果を徹底解説!

上場企業や上場準備企業にとって、IRサイトは投資家との重要なコミュニケーションツールです。しかし、IRサイトの制作・運用にかかる費用は企業規模や求める機能によって大きく異なります。
この記事では、IRサイトの費用相場から費用対効果、コスト削減の方法まで、IR担当者が知っておくべき費用に関する情報を包括的に解説します。適切な予算設定と投資判断の参考にしてください。
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目次
IRサイトの費用相場はいくら?
IRサイトの費用は、サイトの規模や機能、制作会社によって大きく変動します。ここでは、一般的な費用相場と継続的にかかる運用費について詳しく解説します。
制作費用の目安(小規模〜大規模)
IRサイトの制作費用は、企業の規模や求める機能レベルによって大きく異なります。
小規模IRサイト(100万円〜300万円)
10から20ページ程度のサイトで、基本的な決算情報やプレスリリースの掲載機能を持つシンプルなデザインのサイトが対象です。小規模上場企業や上場準備企業に適したレベルといえるでしょう。
中規模IRサイト(300万円〜800万円)
ページ数は20から50ページ程度で、詳細な財務情報の掲載、IRカレンダー機能、動画コンテンツへの対応、英語などの多言語対応、検索機能などが含まれます。中堅上場企業が求める標準的なレベルの機能を備えたサイトです。
大規模IRサイト(800万円〜2000万円以上)
50ページ以上の大規模サイトで、高度な情報管理機能、動画配信システム、多言語対応(英語・中国語等)、アクセシビリティ対応などの高機能が特徴です。大企業や外国人投資家を強く意識したプレミアムレベルのサイトといえます。
維持・運用にかかるランニングコスト
IRサイトは制作後も継続的な運用費が発生します。
基本的な運用費(年間50万円〜150万円)
- サーバー・ドメイン費用:年間10万円〜30万円
- 保守・メンテナンス費用:年間30万円〜80万円
- 軽微な修正・更新作業:年間10万円〜40万円
充実した運用費(年間150万円〜500万円)
- 定期的なコンテンツ更新・追加:年間80万円〜200万円
- システム機能の追加・改善:年間50万円〜150万円
- 多言語対応のメンテナンス:年間20万円〜150万円
IRサイトの費用対効果とその価値
IRサイトへの投資は単なるコストではなく、企業価値向上につながる重要な投資です。具体的な効果と価値について説明します。
企業の信頼性・透明性の強化
質の高いIRサイトは、企業の信頼性向上に直結します。
信頼性向上の具体的効果
- 適切な情報開示による投資家からの信頼獲得
- ガバナンス体制の透明性アピール
- 企業ブランドイメージの向上
- 新規投資家獲得の基盤づくり
金融庁の調査によると、IRサイトの充実度が高い企業ほど、機関投資家からの評価が高く、株価のボラティリティも低い傾向にあります。年間数百万円の投資で、企業価値の安定化が期待できる点は大きなメリットです。
投資家とのエンゲージメント向上
IRサイトは投資家との継続的な関係構築において重要な役割を果たします。
エンゲージメント向上の具体例
- 決算説明会資料のタイムリーな掲載による情報格差の解消
- IRカレンダーによる予定の事前共有
- 経営陣メッセージの定期発信
- 投資家向けFAQの充実
効果的なIRサイト運営により、投資家からの問い合わせ対応時間を30%以上削減できたという事例も多数報告されています。これにより、IR担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。
情報公開の適正化によるリスク回避
適切な情報開示は、法的リスクや風評リスクの回避にもつながります。開示規則違反による課徴金リスクの回避、情報格差による風評被害の防止、内部者取引疑惑の回避、ESG評価機関からの高評価獲得などの効果が期待できます。
情報開示に関する法的トラブルは、企業にとって数億円規模の損失となる可能性があります。IRサイトへの適切な投資は、こうしたリスクを大幅に軽減する保険的な役割も果たします。
IRサイトの費用内訳をわかりやすく解説
IRサイトの費用構造を理解することで、適切な予算配分と優先順位付けが可能になります。
初期費用の主な内訳
IRサイト制作の初期費用は、主に3つの要素で構成されます。
ディレクション・設計・デザイン
制作費全体の30から40%を占める重要な要素です。要件定義・企画立案に50万円から200万円、情報設計・サイトマップ作成に30万円から100万円、UIデザイン・レスポンシブ対応に100万円から400万円程度が相場となります。
この段階では、投資家のニーズ分析や競合他社のベンチマーク調査も含まれます。特に上場企業のIRサイトでは、金融庁の開示ガイドラインに準拠した設計が必要なため、専門知識を持つディレクターの起用が重要です。
CMS導入・システム開発
制作費全体の25から35%を占める技術的な要素です。CMS選定・カスタマイズに80万円から300万円、独自機能開発に100万円から500万円、セキュリティ対策・SSL対応に20万円から80万円程度が必要になります。
IRサイトでは、決算情報の自動更新機能や多言語対応システムなど、一般的なWebサイトにはない専門機能が必要になります。これらの機能開発費用が全体コストに大きく影響します。
コンテンツ制作・撮影・翻訳
制作費全体の20から30%を占める要素です。原稿作成・編集に50万円から200万円、写真・動画撮影に30万円から150万円、英語翻訳に50万円から300万円程度が相場となります。
IRサイトのコンテンツは、正確性と専門性が強く求められます。特に財務情報や法的な記載事項については、専門家による監修が必要な場合も多く、その分コストが上昇します。
維持費の主な内訳
IRサイトの継続的な運営には、主に2つの費用が発生します。
CMSやサーバーの月額費用
月額3万円から15万円程度が相場です。サーバー・ドメイン費用が月額5,000円から30,000円、CMS利用料が月額10,000円から50,000円、CDN・セキュリティサービスが月額10,000円から70,000円程度となります。
IRサイトは一般的なWebサイトと比較して、高いセキュリティレベルと安定性が求められます。そのため、サーバー費用は通常のWebサイトより高額になる傾向があります。
保守・更新・障害対応費
月額5万円から30万円程度が相場です。定期メンテナンスに月額20,000円から100,000円、緊急時対応・障害復旧に月額30,000円から150,000円、コンテンツ更新サポートに月額10,000円から50,000円程度が必要になります。
IRサイトでは、決算発表時期など特定のタイミングでアクセスが集中するため、その際の安定運用が特に重要です。24時間365日の監視体制を敷いている制作会社を選ぶことで、リスクを最小限に抑えられます。
納得感ある見積もりを得るコツ
IRサイトの見積もりを取る際は、適切な準備と比較検討が重要です。
やりたいことを明確にする
見積もりの精度を高めるためには、要件を具体的に整理することが重要です。掲載予定のコンテンツ種類と量、必要な機能(検索、多言語対応、動画配信等)、想定アクセス数と同時接続数、運用体制(社内更新の範囲)、公開希望時期とスケジュールなどを明確にしておく必要があります。
特に、決算情報の自動更新機能や株価連動機能など、IR特有の機能については詳細な仕様を決めておくことで、後からの追加費用を防げます。
複数社に相見積もりをとる
IRサイトの制作会社によって得意分野や価格帯が大きく異なるため、最低でも3から5社からの見積もりを取ることを推奨します。
見積もり比較の際は、同じ条件での価格比較、提案内容の差異の確認、過去の制作実績とクオリティ、運用サポート体制の充実度、緊急時の対応体制などを総合的に評価することが重要です。価格だけでなく、IRサイトの制作実績や上場企業との取引経験を重視することで、より質の高いサイトを構築できます。
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IRサイトの費用を抑える方法
限られた予算でも効果的なIRサイトを構築するための具体的な方法を紹介します。
必要最低限の構成で始める
初期投資を抑えるには、段階的な構築アプローチが効果的です。まず最初のフェーズでは、基本的な会社概要・財務情報、プレスリリース掲載機能、簡潔なデザインとレスポンシブ対応など、必要最低限の機能で開始します。予算目安は100万円から200万円程度です。
次のフェーズでは、IRカレンダー・決算説明会資料、投資家向けFAQ、英語対応などの機能を段階的に追加していきます。追加予算目安は100万円から300万円程度です。このアプローチにより、初期投資を半分程度に抑えながら、効果を確認しながら機能を拡張できます。
社内で更新できる体制をつくる
運用費用を抑える最も効果的な方法は、社内での更新作業を増やすことです。社内運用により年間運用費を30から50%削減でき、情報更新のスピードアップ、内容の正確性向上、外部依存度の軽減などのメリットがあります。
社内運用を成功させるためには、直感的に操作できるCMSの選定、社内担当者向けの操作研修実施、更新マニュアルの整備、定期的な運用サポート体制の構築が重要です。多くの企業では、IR担当者が直接更新できる体制を整えることで、年間100万円以上の運用費削減を実現しています。
IRサイトだけCMSで構築するのはあり?
コーポレートサイトとIRサイトを別々に構築することの是非について、メリットとデメリットを整理します。
IR専用CMSを使うメリットと注意点
IR専用CMS構築には、IR業務に特化した機能の充実、セキュリティレベルの向上、更新作業の効率化、障害時の影響範囲の限定などのメリットがあります。一方で、初期構築費用の増加(50から100万円程度)、運用体制の複雑化、SEO効果の分散、ブランド統一性の管理負担などのデメリットも存在します。
判断基準として、年間売上高500億円以上の企業では専用CMS構築を推奨し、外国人投資家比率30%以上の企業では専用CMS構築を検討する価値があります。IR専任担当者がいる企業では専用CMSが有効ですが、予算制約が厳しい場合は統合型CMSを推奨します。企業の規模や投資家構成、運用体制を総合的に判断して決定することが重要です。
まとめ|IRサイト費用を正しく理解して、賢く投資しよう
IRサイトの費用は、企業の規模や機能により大きく変わりますが、制作費100万〜2,000万円、運用費年間50万〜500万円の投資によって、信頼性の向上や投資家との関係構築、情報開示リスクの軽減といった大きな価値が得られます。
企業の成長段階に応じて段階的に整備し、社内での更新体制を整えることで、無理なく費用を抑えることも可能です。また、複数社からの見積もりや長期的な効果を踏まえた判断も重要です。
IRサイトは単なるWebサイトではなく、投資家と信頼関係を築く場です。だからこそ、目的に合った設計・運用が欠かせません。
CMS「BlueMonkey」なら、IRサイトに必要な更新性・操作性・セキュリティを兼ね備えた運用が可能です。IRサイト構築をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 ウェブプロモーション事業部 部長
長谷川 潤
プロフィール
1979年生まれ 福島県出身。アパレル業界でキャリアをスタートし、ECサイトの立ち上げと運用を通じてWebマーケティングの世界へ。その後、デジタルマーケティング領域の専門性を深めるべく、スターティアラボ株式会社(現:クラウドサーカス株式会社)に入社。2009年以降、10年以上にわたりBtoB企業向けのWebサイト構築を手がけ、コンバージョン最大化を軸に多数のプロジェクトを支援。2023年からはウェブプロモーション事業部の責任者として、新規顧客獲得を目指すBtoB企業のマーケティング活動を牽引しています。