【製造業のデジタルマーケティング】活用が進まない理由とそれでも必要な理由(前編)
記事公開日:2023/05/16この記事では、弊社が過去に開催したウェビナー「製造業の新潮流!ホームページを武器に!見込み顧客数(前年比)240%の”秘伝ナレッジ”大公開」の要約として、製造業のデジタルマーケティング活用法を考える特集記事を前編・中編・後編の3部構成でお届けします。
前編の本記事では、ウェビナーの中でもご紹介した製造業の営業現場でデジタルマーケティングが普及しない理由 を考察。BtoBのホームページで起きている最新の変化を踏まえ、製造業にデジタルマーケティングが必要な理由 を紹介します。
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目次
そもそもデジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングは、マーケティングの一部であり「デジタルツールを使ったマーケティング活動の総称」を意味します。似た意味を持つ言葉に「WEBマーケティング」がありますが、WEBマーケティングはデジタルマーケティングの活動のひとつです。デジタルマーケティングには、ホームページ以外の施策もあります。
BtoB分野のデジタルマーケティングの流れは大きく3つのフェーズに分けられます。
顧客獲得の流れは一般的に「認知・興味」「行動・訪問」「比較・検討」「商談・契約」 の順に進み、フェーズが進むほど契約に近づきます。これらのフェーズに対し、それぞれの段階に合った施策を行うのがデジタルマーケティングの基本です。
契約に至るまでのユーザーの行動
一般的にユーザーは以下のような流れで検討を深め、契約に至ります。
- Googleにキーワードを打ち込んで検索をかけ、ホームページにたどり着く。
- ホームページの情報に興味を持った人が、問い合わせや資料請求を行う。
- 資料などをもとに比較・検討を重ねる。
契約を獲得するまでの企業の行動
一方、企業側は以下のような流れでユーザーにアプローチし、検討を後押しします。
- 資料請求や問い合わせの際に顧客の企業名、役職名、担当者名、メールアドレスなどの情報(リード情報)を獲得する。
- リード情報をもとに、マーケティングオートメーション(MA)ツールでユーザーの行動を把握する。
※MAツールはユーザーが、検討度合いが高いと思われる行動を取ったタイミングを検知できる。 - 検討が深まるタイミングを逃さず、営業担当からユーザーにアプローチし、商談に結びつける。
- 契約が見送られた場合やペンディングの場合、検討度合いが高まったタイミングで改めてアプローチを行うなど、顧客育成を含めた一連のフローを確立できる。
クラウドサーカスは、これまでに多くのBtoB企業のデジタルマーケティング活用を支援してきました。その中でも 今後、特にデジタルマーケティング活用を推進していきたいのは製造業のお客様です。
ご存じの通り、労働人口の減少などにより製造業では人手不足が加速しています。このような課題に対応するためにも、サプライチェーン全体を最適化する「製造業のDX」を求める声が高まっています。一方で、 日本の製造業界ではさまざまな理由により、デジタル化が進んでいない現状があります。
製造業のデジタルマーケティング活用は遅れている?
クラウドサーカスは多くの製造業のお客様の ホームページ制作、デジタルマーケティング支援に携わっていますが、製造業のお客様から「デジタルマーケティング取り組みがなかなか進まない」という悩みをたびたび聞いています。
では、なぜ製造業ではデジタルマーケティングの取り組みが進みにくいのでしょうか。 当社の経験とデータを踏まえてその理由を考察します。
製造業のデジタルマーケティング活用が進まない理由
当社がこれまでさまざまな業界のお客様を支援してきた経験から、製造業界でデジタルマーケティングが普及しづらい状況にあるのは、以下のような課題が影響していると思われます。
直近の課題解決に特化した「守りのDX」を優先
ひとつ目の理由は、製造業の投資が外部要因への対応を優先に行われていることです。
近年では、新型コロナウィルスの流行やそれに伴う半導体不足、ウクライナ情勢、円安など、製造業の生産活動に大きな影響を与えるような世界情勢の変化が次々に起きています。 社会課題が複雑化するなか、突発的な外部要因に対応することが優先されるため、IT投資も直近の課題に対応するものになりがちです。
これは、いわゆる「守りのDX」と呼ばれるもので、DXの過程には必要不可欠な段階です。一方で、デジタル技術を使用して新たなビジネスモデルを確立するような 「攻めのDX」まで到達している製造業の企業は少ないのが現状です。
機密事項が多い
ふたつ目は業界的に機密事項が多いことです。
BtoBの商流は、ホームページでの情報収集から検討、そして検討度合いが上がるまでに長い時間がかかります。
そのため、ホームページには、できるだけ多くの情報を掲載し、検討中のユーザーがWEB上でより多くの情報を得られることが理想です。しかし、当社が支援する製造業のお客様からは、WEB制作の段階で 「情報を競合他社に見られたくない」「業界的に公開すると問題があるかも…」などの懸念をたびたび聞きます。
ホームページ上でユーザーに対して十分な情報を提供できないと、ホームページの成果を感じられず、結果的に、デジタルマーケティングの効果に懐疑的になってしまいます。
このようなケースも、製造業でデジタルマーケティングが定着しにくい要因のひとつだと思われます。
属人化した営業体制
3つ目の課題は、属人化した営業体制です。
製造業界では、売上のほとんどを既存顧客からの注文が占めている企業が多く存在します。「新規顧客からの売上も取っていきたいが、実際は既存顧客からの売上で成立している」という話もよく聞きます。
製造業の商流の特性上、受注までは長くかかりますが、一度決まれば、特段の問題がない限り継続的な受注が見込めます。そのため、売上割合に占める既存顧客の割合が多いこと自体が問題というわけではありません。
既存顧客からの売り上げが多いことをふまえると、そこに「営業担当のブラックボックスが存在する」ことが課題 になります。トップセールスマンや既存の営業からの売上だけで成り立っている状態は、 デジタルマーケティングが介入する余地がなくなります。 結果的に、デジタルマーケティングを活用した業務効率化や新規開拓が進まない状態に陥ってしまうことが考えられます。
マーケティング専任担当の不在
最後の課題は、マーケティング専任人材の不在です。
製造業に限らず、マーケティング担当を専任で設けている企業はまだ少ないと感じます。兼任でうまく進めている会社もありますが、 マーケティング施策に避けるリソースが十分にないと、どうしても社内にマーケティングのノウハウが蓄積されにくい傾向があります。
このような理由から、デジタルマーケティングを軸とした売上が成り立たず、結果的にデジタルマーケティング自体の進捗が遅くなると考えられます。
それでも製造業でデジタルマーケティングが必要な理由
このようにさまざまな課題があると聞くと「やはり、製造業にデジタルマーケティングに合わないのではないか」「無理に新規開拓しなくても、既存の顧客の売上で十分なのでは」と感じる方もいると思います。
しかし、当社はこれまでの経験から 「製造業にデジタルマーケティングは必要」であり「業界的に合わない」などということはない と考えています。その理由を以下で紹介します。
中長期的なWeb戦略で実際に成果を挙げている製造業がある
ひとつ目の理由は、当社がこれまで支援してきた製造業のお客様には、 デジタルマーケティングを活用して着実に成果を挙げているお客様が多くいるからです。
ここではその一例として、土木分野の補強土壁工事を中心に事業を展開するお客様の事例を動画で紹介します。
ヒロセ補強土様・事例動画
この事例の参考になるポイントは以下の点です。
- デジタルマーケティングを実行するにあたって適切なKPIを設定している。
- 適切なKPIの達成を重ね、デジタルマーケティングが社内で回り始めている。
このように、デジタルマーケティングの成果は売上に直結するものだけではありません。 「KPIで定量的に進捗を把握し、改善を続ける」など、PDCAサイクルをスムーズに回せる点に大きな意味があります。
当社もヒロセ補強土様のデジタルマーケティングを継続的にサポートさせていただいた結果、ホームページ流入数やお問い合わせ数が大幅に向上しました。
同社はデジタルマーケティングの取り組みを続ける中で、 マーケティングオートメーションツール、チャットボットツール、電子ブックツールも段階的に導入 されています。3年間の取り組みを通してデジタルマーケティングに投資し、実際に成果を感じられている好例です。
BtoB業界全体でホームページの役割・レベルが高度化している
また、BtoB界全体でホームページの担う役割、レベルが上昇してきているという点も見逃せません。
当社では、BtoBのホームページは第1世代~第4世代まで4段階の変遷 をたどってきていると考えています。各世代のホームページの傾向と特徴は以下の表の通りです。
第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | 第4世代 |
---|---|---|---|
あるだけで差別化できたホームページ | 見つけてもらう、選んでもらうためのホームページ | 見込み顧客からの問い合わせを体感できるホームページ | 顧客育成の役割も担うホームページ |
・会社概要や事業概要が確認できればOK ・競合が少なくホームページを作れば売れる時代 |
・作れば売れるに反応した企業がホームページを作成し、競争が激化 。検索サイトで上位表示するための対策(SEO)が必要になった時代 ・選ばれるホームページにするために差別化できる要素が求められるように。 |
・顕在キーワードを狙う会社が急増し、難易度と単価が高騰。獲得単価が安く、母数が多い 準顕在・潜在層へのアプローチが必要に。 ・リード情報(個人情報)を獲得 する対策が行われるようになる(オウンドメディア、ディスプレイ広告、ホワイトペーパーなど)。 |
・準顕在リード、潜在リードを育成(ナーチャリング)する役割も担うホームページ へ(検討度を高めるコンテンツ設計が必要)。 ・MAツールで検討レベルを把握し、情報を活用。育成活動と営業活動を最適なバランスで実施するホームページへ。 |
上記の表からわかるように、BtoB分野の企業ホームページに求められる役割は、はじめは「ホームページがあるだけ」で効果を感じられる時代でしたが、次第に競争が激化し、現在は第3世代、第4世代に対応したホームページが必要になってきています。
ホームページが第1世代、第2世代のままの場合、ホームページ経由のお問い合わせが数件あったとしても「なんとなく問い合わせがきている」ケースや、偶発的な成果で効果測定できてない場合が多いのではないでしょうか。
このように、BtoB分野全体でWEBマーケティング、デジタルマーケティングに取り組む企業が増えるなか、 見込み顧客を獲得し、その顧客を育成できる「第4世代のホームページ」を土台に、デジタルマーケティングを機能させる ということが製造業の皆様にも必要になってくると私たちは考えています。
まとめ:製造業でもデジタルマーケティングは十分機能する!
このように、製造業へのデジタルマーケティングの普及を遅らせる原因には、変化の激しい時代に突発的に起きる外部要因への対応や、業界ならではの商流とそれに対する既成概念などがあることを述べました。
しかし、これらの課題に対してデジタルマーケティングならではの「データ」をもとに少しずつ習慣を変えていき、第4世代のホームページに対応することが製造業の皆様にも必要になってきています。
「製造業でもデジタルマーケティングは十分機能する」。
私たちはこれまでの支援経験を通して、ぜひこのことを製造業の皆様に知っていただきたいと考えています。
>では「実際、何から始めたらいいの?」という方へ。中編では製造業に適したデジタルマーケティング施策を4つのポイントに絞り解説しています。ぜひ、ご覧ください。では製造業に適したデジタルマーケティング施策を4つのポイントに絞り解説しています。ぜひ、ご覧ください。
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<中編タイトル予定>
【製造業のデジタルマーケティング】ここから始めればOK!がわかる施策4選(中編)
<後編タイトル予定>
【製造業のデジタルマーケティング】問合せ増の成功事例とツール選定のポイント(後編)
※ヒロセ補強土様事例の詳細、中編の施策例の概要(>内部リンク)と、クラウドサーカスツールのポイント
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