MQL(Marketing Qualified Leads)とは?SQLとの違いやマーケティングにおける立ち位置を解説
最終更新日:2024/05/16「MQL(Marketing Qualified Leads)」は、マーケティング活動によって絞り込んだ有望な見込み客やそのリストを指す言葉です。「ホットリード(リスト)」とも呼ばれます。
MQLを意識することで、マーケティング部門・営業部門における課題や今取り組むべきことを明確にできます。他にも、マーケティング活動や営業活動の効率化やリピーター獲得に有効です。
本記事ではMQLの基本的な知識をはじめ、混同しがちなSQLとの違い、創出方法を解説します。運用する上で生じやすい課題やその解決法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
MQL(Marketing Qualified Leads)とは?
MQL(「Marketing Qualified Lead」の略)は、マーケティング活動によって絞り込んだ「有望な見込み客及びそのリスト」を意味する言葉です。
展示会やセミナーなどのマーケティング施策を通して自社を知り、自社製品やサービスに興味・関心を示した顧客を意味します。ただ関心はあるもののニーズが顕在化しておらず、具体的なサービスは検討していない段階なので、DMやメルマガの配信、ウェブ広告などの施策を通して育成していく必要があります。
具体的なサービス導入について未定の傾向にあるため、付加価値をつけた提案を行い、利益を拡大しやすいのが特徴です。一方で「商品購入までの期間が長期化する」という可能性もあります。
次に、MQLと混同されやすい言葉である「SQL」についてみていきましょう。
SQL(Sales Qualified Leads)とは?
SQL(「Sales Qualified Lead」の略)は、「商談に進む可能性が高い」と営業部門で判断された見込み顧客を指します。
SQL既にニーズや課題が顕在化しており、商品を比較検討している場合が多いのが特徴です。受注へと導きやすいため、リード発生から顧客化に至るまでの期間が非常に短い傾向にあります。
しかしその分競合他社との相見積もりになることが多いので、受注を獲得するには、自社商材の魅力や優位性を適切に訴求していかなければなりません。
MQLとSQLの違い
MQLとSQLにはどのような違いがあるのでしょうか?両者を正しく理解するため、本章ではその違いについて詳しく解説していきます。
MQLとSQLの違い
MQLとSQLはどちらも「見込み顧客」を指しますが、見込み顧客が存在するフェーズが大きく異なります。
MQLは、「興味・関心を持っているものの、まだニーズが顕在化していない」段階にいる顧客を意味します。一方でSQLは、「ニーズが顕在化し、ツールの比較検討を行う」段階にいる顧客を指し、次のステップで商談へと進むほど確度が高いのが特徴です。
SQLの獲得には様々なパターンがありますが、企業からアプローチしてMQLを育成し、受注確度が高まった顧客は「SAL(Sales Accepted Lead)」といいます。顧客からの問い合わせなどによって直接SQLになった見込み顧客は「SGL(Sales Generated Lead)」です。
SQLはSQLとSGLで構成されていることも覚えておくと良いでしょう。また、マーケティング部門が担当するのはMQLまでで、SQLは営業部門が担当するのが一般的です。
マーケティングファネルとは
さらに正確にMQLとSQLの立ち位置を理解するには、マーケティングファネルというフレームワークの活用が有効です。
マーケティングファネルとは、見込み顧客が製品を購入するプロセスを段階的に図式化したフレームワークのことです。「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」の主に3つの種類があります。
一般的に「ファネル」というと「パーチェスファネル」を指すことが多いため、MQLとSQLを理解するために、「パーチェスファネル」について説明します。
パーチェスファネルとは
「パーチェスファネル」は、消費者が商品・サービスを購入するまでのプロセスを「認知→興味・関心→比較・検討→購入」のフェーズに分けて図式化したものです。商品やサービスを認知した顧客が最終的な購入に至るまで、ステップを経るごとに人数が絞られて少なくなっていく様子がわかります。
パーチェスファネルを活用することで、以下の2つを実現可能です。問題点を見つけ出して、よりフェーズに最適且つ効果的な施策を打つのに役立ちます。
- 顧客が離脱したフェーズが視覚的にわかる
- それぞれの段階で適切な施策を打つことができる
パーチェスファネルにおける「MQL」と「SQL」の位置
パーチェスファネルにおいて、MQLは「興味・関心」「情報収集」「比較検討」段階にいる見込み客が該当します。潜在顧客やSQLとの差が曖昧なので、ツールを活用したスコアリングなどを通してMQLを明確に判定する必要があります。基本的にMQLはマーケティング部門の担当です。
SQLはパーチェスファネルの「比較検討」「商談」フェーズにいる見込み客が該当します。営業やインサイドセールスが担当するのが一般的です。
マーケティング部門で、MQLを興味・関心のフェーズから比較検討段階まで引き上げます。その後、購買意欲が高まった顧客=SQLにインサイドセールスがアプローチして案件化し、営業担当が商談を行うというのが一連の流れです。
MQLを獲得するメリット
MQLを獲得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?主な5つのメリットについて解説します。
営業活動の効率化
営業活動の効率化は、MQL獲得の最も大きなメリットと言って良いでしょう。
セミナーや展示会などで集めた見込み顧客は、それぞれ検討段階が異なるため、全ての見込み顧客に対して等しくアプローチしてしまうと、労力が無駄になってしまう恐れがあります。
MQLはある程度ニーズが顕在化した見込み顧客なので、抽出することでより検討意欲の高い顧客に的を絞ったアプローチが可能になり、営業活動の効率化、ひいては営業部門の疲労防止にもつながります。
顧客の見逃し防止
検討度合いが低いと思っていた顧客が、前触れなく急に検討段階に入るケースはよくあります。検討段階が高まるタイミングを見逃してしまうと、顧客は競合他社の製品を購入してしまい、せっかくの貴重な機会損失につながります。
MQLを抽出・創出してしっかりフォローすれば、突然案件化につながる顧客の取りこぼしを防げます。
より適切なマーケティング活動ができる
MQLやSQLに見込み顧客を分類することで、それぞれの顧客により適切なマーケティング施策を打つことができるというメリットもあります。
購入プロセスでの顧客の立ち位置を明らかにした上でアプローチすれば、より緻密で高い効果の見込めるマーケティング活動を実現できるでしょう。
有益なフィードバックがもらえる
MQLは自社に対する信頼度が高いため、自社の商品やサービスに対して有益なフィードバックをもらいやすい傾向にあります。
自社に対する興味・関心が薄い顧客ではなく、ある程度商品・サービスを理解しているMQLからの率直な意見をもらえる可能性が高く、問題点の発見やサービス改善に役立ちます。継続して改善んしていけばより満足度の高いサービス提供につながるでしょう。
リピーター創出に有効
MQLは受注までの期間が長い傾向にありますが、中長期的な育成を通して成約に繋げれば、リピーターとして継続購入してくれる可能性は高まります。
新規顧客の獲得のみに注力するのではなく、MQLへのアプローチにも力を入れて取り組めば、LTV(顧客生涯価値)や売上の向上に大きく貢献します。
MQLの創出方法
MQLの創出は、以下の3つのプロセスを経て行われます。
- ①リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
- ②リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
- ③リードクオリフィケーション(見込み顧客の抽出)
それぞれのプロセスについて以下で解説します。
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①リードジェネレーション
リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)は、Webサイトからの問い合わせや資料請求などを通じてリード情報を収集することを指します。
オンライン上で行う施策だけでなく、展示会やセミナーなどでの名刺交換などのオフラインでのリード獲得施策もあります。次の2つのステップをより効果的に運用するためには、この段階で多くのリードを獲得することが大切です。
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②リードナーチャリング
次に、メルマガ、セミナーなどを用いて、獲得した見込み客に定期的に接触し、購買意欲を高めていくプロセスがリードナーチャリングです。
リードジェネレーションで獲得した見込み顧客の多くは、関心や検討度の度合いが低い傾向にあります。そこで、リードナーチャリングを通して自社の商品・サービスの魅力を伝え、疑問や不安を解消していくことで信頼関係を構築し、商談・受注につながるよう検討度合いを高めていきます。
関心が低いからといってリードを放置してしまうと、競合他社に奪われてしまう可能性があります。貴重な機会損失や他社への流出を防ぐためにも、ペルソナごとにコミュニケーション戦略を策定し、最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが大切です。
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③リードクオリフィケーション
購買意欲がある程度高まったら、確度の高い見込み客であるMQLを抽出します。この活動がリードクオリフィケーションです。
営業部門がアプローチして商談化するために、育成したリードの中から自社の製品・サービスに対する関心度が高く、商談に値する顧客を選別して引き渡します。
より精度の高いMQLを抽出するための代表的な施策に、MAツールを活用した「スコアリング」があります。「メルマガの開封」「Webサイトの閲覧」などを行った顧客の行動を自動で点数化し、スコアが一定の基準を満たしたら購買意欲が高いと判断できるので、営業部門にパスします。
離脱した見込み顧客への再アプローチも重要
上記の3ステップから離脱した見込み顧客を放置せず、期間をあけて再アプローチすることでMQLへと復活する可能性があります。接点を持ち、コミュニケーションを取り続けることが重要です。
特にBtoB企業は検討期間が長い傾向にあり、離脱時には購買意欲が低かった顧客も状況が変わる場合があります。他サービスの契約更新や決裁者の異動など、タイミングがあえば再度検討してくれる可能性があるため、見逃さないように再アプローチを運用ステップに取り入れましょう。
MQLとSQL運用で起きがちな課題
MQL・SQL運用において、多くの企業ではマーケティング部門と営業部門の連携がうまく取れないなどの課題が生じます。効果的に運用していくために、起こりがちな課題について把握しておきましょう。
売上へのMQLの貢献度がわかりづらい
MQLの獲得や育成を行うのは基本的にマーケティング部門であり、検討度合いが高まったら営業部門へパスします。そのため、引き渡したMQLが売上につながっているかどうかがわかりづらく、MQLを再早出する際のフィードバックが得られないという問題が生じがちです。
連携がうまく取れず商談に結びつきにくい
受注や売り上げをミッションとする営業部門では、マーケティング部門で行われたコミュニケーション履歴が把握できず、せっかくMQLが引き渡されても、商談まで辿り着かずに終わってしまうという課題が生じます。
受注までのプロセスの不透明さや連携の取りづらさは、両部門の関係性の悪化や、社内全体における負のスパイラルへとつながる可能性が高いです。
SQL優先によるMQL放置
上記2つの課題によって、引き渡したMQLが営業部門でフォローされないという問題が起こりがちです。営業部門は受注や売り上げを重視するため、短期間で売上に直結するSQLに多くの時間を割く傾向にあるからです。
MQLの優先度が下がって放置してしまうと、その期間に見込み顧客のモチベーションが低下してしまい、せっかくの商談機会を喪失してしまう可能性があります。効率化を図るつもりが、部門の不仲によって成果が得られず、頭を悩ませる経営者が多く存在しています。
このような課題を解決するためには、何に取り組めば良いのでしょうか。
課題解決のポイント
MQL・SQL運用で起こりがちな課題を解決するために大切な5つのポイントを紹介します。
CRMツールを活用した部門間での情報共有
まず、マーケティング部門・営業部門間で密な情報共有を行うことが何より大切です。そのためには顧客情報の一括管理ができる「CRM(Customer Relationship Management)ツール」の活用をおすすめします。
CRMツールでは、マーケティング部門での見込み顧客とのコミュニケーション履歴や、顧客の購買履歴など、顧客に関するあらゆる情報共有が可能です。SQLまで育成できなかった見込み顧客の情報等もデータベース化されており、 MQLとSQL間で情報を共有できるので、スムーズな運用に有用です。
ただし、情報を漏れなく入力しないと力を発揮しないため、適切に活用できるようにオペレーションをする必要があります。
部門間での密な連携
効率よくMQLを商談・売上につなげるためには、MQLを担当するマーケティング部門と、SQLを担当する営業部門間で密な連携を取ることが重要です。連携することでスムーズな運用を進められます。
連携をより円滑にするためには、「受注」という両部門共通の目標を設定することをおすすめします。マーケティング部門も一緒に、営業部門の目標を指標として設定することで、部門の垣根を越えた協力が必要になります。システムを作ることで、連携が促進されて効率の良い運用へとつながります。
MAツールを活用いたスコアリングの実施
先述したように、MAツールを活用した「スコアリング」の実施によって精度の高いMQLが抽出でき、確度の高いリードを営業部門へとパスできます。
「確度の低いMQLが営業部門にパスされる」という課題解決に役立ち、より効率的なMQL・SQL運用が実現できます。
ただし、すれ違いが起きないように事前の打ち合わせを行い、両部門でスコアの設定をすり合わせることが重要です。「スコアが○○点以上の見込み顧客を営業にパスする」など、両部門が納得したうえで明確な基準を設けましょう。不具合が出たら適宜修正することも大切です。
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シナリオの見直し・改善をする
スコアリングとともに、マーケティング部門におけるMAのシナリオ設定の見直しや改善も重要です。定期的に見直しを行い、適宜ブラッシュアップしていきましょう。
見込み顧客が辿るルートや離脱ポイントを分析し、試行錯誤を繰り返しながら改善を重ねることで、より確度の高い見込み顧客をSQLとして営業部門に引き継ぐことができます。
まとめ
本記事では、MQLについて基本的な知識から創出方法、生じやすい課題やその解決法まで網羅的に解説しました。
スムーズに情報共有を行ってうまく連携しながらMQLとSQL運用を行うことで、業務の効率化はもちろん、成約率の大幅な向上が期待できます。MQL・SQLを正確に理解したうえでリード施策を見直し、適宜改善を重ねながら運用を進めていきましょう。
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この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ
CMS BlueMonkeyメディア編集部
プロフィール
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまで2,300社以上のデジタルマーケティング支援を行ってきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱えるデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供し、そこから得たデータを元にマーケティング活動を行っている。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意領域で、目的から逆算した戦略的なCMS導入・Web制作や運用のサポートも実施。そこで得たノウハウや基礎情報を、BlueMonkeyのコラムとしても発信中。
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