ペルソナとは?ビジネスにおける意味やマーケティングでの活用方法について解説!
ペルソナとは、架空のユーザー像を設定することで、顧客をより深く理解するマーケティング手法です。漠然としたプロフィールではなく、年齢、性別、職業、家族構成、趣味、抱えている課題、購買行動など、顧客のあらゆる側面を詳細に設定することで、実際に存在する人物のようにニーズを把握しやすくします。
ペルソナを作成することで、単なる商品・サービスの紹介だけでなく、顧客のニーズにあわせた提案や、共感を生み出すコミュニケーションが可能になります。
本記事では、ペルソナについての基礎知識や作成方法、ビジネスでの使い方などを紹介します。ChatGTPで手軽に作る方法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ペルソナとは?
ビジネスにおける「ペルソナ(Persona)」とは、自社製品を利用する架空のユーザー像のことです。名前や年齢、性別、居住地、職種、趣味などを細かく決めて、具体的な顧客像を設定します。
もともとペルソナは、「仮面」「外的人格」という意味で使われる心理学用語でした。ビジネスの世界では、製品デザインやソフトウェア開発の領域で、顧客像の解像度を上げてチーム内で共有するために導入されてきました。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナとターゲットの違いは、簡単にいうと「ユーザー像をどのくらい細かく設定したのか」という点です。大まかに顧客像をイメージするターゲットに対して、ペルソナはより具体的にユーザー像を設定していきます。
たとえば、ターゲットでは「30代・男性・ビジネスマン」というように概要のみを設定しますが、ペルソナは「37歳・男性・メーカー勤務・営業職・年収600万円・都心部に居住」ように、象徴的なユーザー像を詳しく作成します。
ペルソナを設定するメリット
ここからは、ペルソナを設定するうえで、代表的な4つのメリットについて解説します。
ユーザーのニーズがわかる
ペルソナを設定することで、顧客のニーズがつかみやすくなります。どのような情報を求めているのか、どういったコミュニケーションが必要なのかわかり、より効果的な戦略を立てられます。
「どのような内容のメルマガを送信するか」ではなく、「どのようなメルマガを受け取ったら読みたくなるか」と顧客の立場で考えることができ、コンテンツ作成の方向性が決めやすくなるでしょう。
マーケティングの精度が高まる
ペルソナは、マーケティング戦略を考えるうえでも、非常に重要な役割を果たします。ユーザーの購買意欲を促すためには、どういったマーケティングが最適か、顧客の視点に立って施策を考えられます。
たとえば、広告を出稿するときにも、若年層か、シニア層に向けたものかでSNSや新聞、チラシなど選択する媒体は大きく変わります。ペルソナを設定しておけば、適した媒体がすぐにわかります。
このように、施策を計画するときにも、ペルソナ設定をしておくと細かな決断がしやすくなります。
メンバー内で顧客像を共有できる
複数の部署が集まって施策を進める場合、ペルソナを設定することで、具体的なユーザー像が共有しやすくなります。認識のズレによる打ち合わせのやり直しや、スケジュールの遅れなども防げるでしょう。
また、企画の全体像も把握しやすくなるので、プロジェクトの方向性が統一され、効率的に進められます。
コストや時間を削減
メンバー内での顧客像を統一できるので、マーケティング戦略にかかる時間やコストも最小限にできます。
事前にすり合わせができていないと、戦略が間違っていたり、目標が適切でなかったりして、せっかく時間をかけたのに、成果につながらない場合があります。誤ったアプローチに気づかず、製品を世に広める機会を逃してしまうかもしれません。こういった、ムダな時間やコストを減らすためにもペルソナの設計は有効です。
ペルソナの作り方
ここからは、ペルソナの作り方を紹介します。
情報を集める
まず、ペルソナの土台となるユーザーの情報を収集します。既存顧客の情報や口コミから、どのようなユーザーが自社製品を選んでくれるのかを明確にします。
とくに、「仕事」「プライベート」「自社商品について」の情報を集めておくとよいでしょう。
仕事について
「どのような仕事についているか」という基本情報はもちろん、仕事に対する意識や不満、期待といった情報を集めておくと、よりリアルなペルソナが作れます。仕事について収集したい項目は下記のとおりです。
- 職業、役職
- 年収
- 1日のタイムスケジュール
- 会社の規模
- 業界の特徴
- 仕事への不満、課題
- 期待やチャレンジしたいこと
プライベートについて
プライベートについては、最低限以下の情報を集めておくと、ペルソナ作成に役立ちます。
- 年齢
- 性別
- 最終学歴
- 家族構成
- 居住地域
- ライフスタイル
- 趣味
- よく使用するSNS
- 利用しているデバイス
- 商品購入で重視すること
自社商品について
既存顧客にアンケートやインタビューを行い、自社製品を購入した経緯、感想を聞いておくのも有効です。以下の情報が収集できるとよいでしょう。
- 商品やサービスに興味をもった理由
- 購入までの流れ
- 検索キーワード
- 購入を決定した理由
- 今後期待すること
具体的な人物像を作成
ベースとなる情報を収集したら、共通している情報を抽出して、架空のユーザー像を作成します。プロフィールや履歴書を作るイメージで、年齢、性別、名前、職業、趣味などを当てはめましょう。
このときにポイントとなるのが、具体的な背景やストーリーを設定することです。「過去の経験から、現在はこのような行動をする」というような、人間的な奥行きまで考えられると、リアリティのあるペルソナが作成できます。
また、男女や年齢別のペルソナがあると思考の幅が広がるため、可能であれば複数作っておくのもおすすめです。
ペルソナをChatGPTで作成する方法
最近話題の「ChatGPT」を使って、ペルソナを作成することもできます。うまくペルソナが作れないという方は、ベースとなる設定だけでもChatGTPに作成してもらうのもひとつの方法です。
生成する項目を指定する
まずは、前述の「ペルソナの作り方」で紹介した「情報を集める」の中から、「年齢、家族構成、居住地域、趣味」など、ChatGPTに生成してもらう項目を選びます。
ターゲットが検索しそうなキーワードから生成する
設定項目が決まったら、自社製品のターゲット層が検索しそうなキーワードから生成の指示を出します。
たとえば、電子ブックの作成ツールを提供している企業なら、「電子ブック作成」と検索するユーザーのペルソナを生成するよう指示します。
さらに、検索した意図についても生成することで、ユーザーのニーズも作れます。自社製品の詳細を追加することで、より解像度を上げられますが、ChatGPTには機密情報を入力しないよう注意が必要です。
ペルソナ作成のコツと注意点
ペルソナを作成するには、いくつかのポイントと注意点があります。コツをおさえて成果につながるペルソナを作りましょう。
顧客像を絞り込んで作成する
ペルソナ作成のよくある失敗として挙げられるのが、「現実社会に存在しないペルソナ」ができあがってしまうことです。ありとあらゆる属性や特徴を詰め込みすぎると、実在しないユーザー像になってしまいます。
「このタイプも、こういうケースも顧客になるかもしれない」と多くの条件を設定しがちですが、できる限り顧客像は絞り込んで作成することが大切です。複数のパターンが考えられる場合は、ペルソナも複数にわけて作成しましょう。
思い込みではなくデータにもとづいて作る
ペルソナ設定は、「購入してほしい人」「利用してほしい人」といった企業が理想とする人物ではなく、一次情報からのデータをもとに設定することが重要です。一次情報とは「実際のユーザーの声」のことで、アンケートやインタビュー、SNS、口コミサイトなどから入手します。
抽象的な情報ではなく、「〇%が使用している」といった数値的なデータを用いると、より実用的なペルソナが作成できます。
企業の理想像で考えてしまうと、実際のユーザーとズレが生じてしまいます。企業本位にならないよう、収集した一次情報をもとにユーザーの意見を取り入れながら作成しましょう。
定期的に設定を見直す
ペルソナは、一度作ったら終わりではなく、定期的に見直すことが必要です。設定したペルソナが、ずっと正解であり続けることはありません。実際の人間と同じように「社会や環境の変化で日々変わるもの」という認識で、柔軟にアップデートしていくことが成功のポイントです。
製品や事業戦略に変更があったときはもちろん、ペルソナ設定にズレが生じた場合は、その都度再設定をします。データ収集と検証を繰り返し行えるよう、チェック体制を整えておきましょう。
画像などをつけてイメージしやすくする
ペルソナはテキストだけでなく、画像やイラストなどのビジュアル素材も設定するとイメージしやすくなります。たとえば、ペルソナとなる人物の写真や、部屋のイメージなどを設定することで、チーム内での認識のズレを軽減できます。
身近な人を参考にすると作成しやすい
なかなか作成が進まない場合は、身近にいる人物の属性や特徴、行動を参考にするのもひとつの方法です。実際に存在する人物を参考にするので、ありえない人物像になってしまう心配や、実態とかけ離れたペルソナを作成してしまうリスクも少なくなります。
また、チーム内のだれもがイメージしやすい身近な人物を参考にすれば、共有しやすくなり、さらに具体化できるでしょう。
ペルソナの使い方
ペルソナをマーケティングに活用することで、どのような成果につながるのでしょうか。最後に、具体的な3つの使い方についてご紹介します。
MAツールのシナリオ作成
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、見込み顧客を獲得・育成し、受注確度を高めて営業部門に渡すまでの流れを自動化・仕組み化するツールのことです。見込み顧客の一元管理やコンテンツ配信、セグメントなどの定型的な業務を自動化できます。
その自動配信に必要なのがシナリオ作成です。事前に設計図を作り、見込み顧客の行動に合わせて、メールなどの配信を行います。
ペルソナを設定しておけば、ユーザーのリアクションをあらかじめ予測でき、精度の高いシナリオ作成が実現します。的確にニーズを把握してタイミングを逃さずにアプローチできるので、成果につながりやすくなるでしょう。
カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップの作成には、ペルソナ設定が不可欠です。カスタマージャーニーマップとは、ペルソナが自社製品を認知してから購入に至るまでのフェーズを可視化したものです。ユーザーが、どのような行動を取り、その段階で何を考えるのかを整理することで、購入までの見込み顧客のニーズが理解できます。
ペルソナ設定は、カスタマージャーニーマップを作成する手順のひとつです。作成することで、ユーザーが「どのような課題を抱えるのか」といった難しい分析も検討しやすくなります。
自社サイトのコンテンツ改善
ペルソナは、自社サイトやSNSの改善にも有効です。ユーザーが求める情報や解決したい問題が明確になるので、どのようなコンテンツを作成すればよいのかが見えてきます。
たとえば、ペルソナが「中小企業のマーケティング担当者」で、課題が「新しいデジタルツールの導入」であるとします。この場合、自社サイトには「デジタルツールの導入事例」や「ツールの効果的な使い方」を含むコンテンツを充実させるとよいことがわかります。
このように、ペルソナ設定を行えば、ニーズに合わせたコンテンツが作成でき、サイトの滞在時間や再訪率の向上につながるでしょう。
さらに、ペルソナに基づくコンテンツ改善は、SEOにも効果があります。ペルソナが検索しそうなキーワードやフレーズを盛り込むことで、検索エンジンからの流入を増やし、サイトのアクセス数アップが期待できます。
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まとめ
ペルソナを設定することで、顧客一人ひとりの行動や心理を深く理解できるようになります。年齢、性別、職業といった基本的な属性に加え、「なぜその商品を購入するのか」「どのような課題を抱えているのか」といった内面的な側面まで掘り下げることで、よりリアルなユーザー像を理解できます。
ペルソナは、単なるマーケティング手法ではなく、あらゆるビジネス活動のベースとなるものです。ぜひペルソナを設定して、自社サイトのリニューアル、マーケティング戦略などに活用してみましょう。
クラウドサーカスが提供するCMS「BlueMonkey」では、簡単操作でWebサイトの作成やリニューアルが可能です。ペルソナが求めるキーワードや情報を取り入れたコンテンツも、スムーズに作成できます。
この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ
CMS BlueMonkeyメディア編集部
プロフィール
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまで2,300社以上のデジタルマーケティング支援を行ってきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱えるデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供し、そこから得たデータを元にマーケティング活動を行っている。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意領域で、目的から逆算した戦略的なCMS導入・Web制作や運用のサポートも実施。そこで得たノウハウや基礎情報を、BlueMonkeyのコラムとしても発信中。
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