KPI管理とは?具体的な方法や設定手順、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説!
最終更新日:2024/07/19KPI管理とは、企業が業績の重要業績評価指標であるKPIを達成するために、KPIを適宜測定分析し、進捗や達成を管理する手法です。KPIは一度設定したら終わりというものではありません。ビジネスの最終目標であるKGIの達成に向けて、常に数値を管理しながら適宜修正や改善をすることが大切です。
適切なKPI管理を行うことにより、達成すべき目標が数値化されるため、組織やチームのモチベーション向上や、達成に向けた行動計画が取りやすいなどのメリットが得られます。
本記事ではKPIの意味からKPI管理の具体的な設定手順、失敗しないポイントまでわかりやすく解説します。
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目次
KPI(重要業績評価指標)とは?
まず最初にKPIの定義について確認しましょう。KPI(Key Performance Indicator)とは日本語で「重要業績評価指標」と訳し、プロジェクトや事業の最終目標到達までの各プロセスの達成度や評価を示す指標を意味します。
下記の図はWebマーケティングにおけるKPIの設定例です。たとえば集客を目的にしたWebサイトを運用する場合、KPIは売上に直結する「受注件数」「商談件数」「問い合わせ数」になります。
Webサイト運用の最終目標を「新規顧客から単月で1,000万円の売上」にした場合、受注件数は5件(平均単価200万円)必要です。5件の受注を得るには、商談数は最低でも17件以上は必須となり、商談に結びつけるための問い合わせ数は19件が目標値になります。
このように最終目標から逆算し、各プロセスの達成に必要な目標数値を導き出すのがKPIです。達成度合いを定量的に測定することで、進捗状況を一目で把握できるだけでなく、数値の可視化によるボトルネックの早期発見につながります。
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KPI管理で知っておきたい3つの関連用語(KGIKSFOKR)
ここではKPI管理を行ううえで把握しておきたい3つの関連用語「KGI」「KSF」「OKR」について説明します。
KGI(重要目標達成指標)
出典:株式会社ピクルス
KGI(Key Goal Indicator)は日本語で「重要目標達成指標」という意味で、企業が目指す最終目標の達成度合いを測るための指標です。一般的には売上高や成約数、利益率、業界シェアがあてはまります。
KPIとKGIの違いは、KPIが各プロセスの目標に対する中間的な指標であるのに対し、KGIは最終的な目標(ゴール)の達成度を示す指標であるということです。KPIを1つひとつ達成していくことで、最終目標であるKGIの達成につながります。KPIとKGIは相関関係にあるといえるでしょう。
KSF(重要成功要因)
KFS(Key Success Factor)は日本語で「重要成功要因」という意味で、事業を成功させるために必要な要因を指します。簡単にいうと、目標達成に向けて組織全体でどのようなアクションを取るべきかを具体的にあらわすことです。
たとえば競合他社との差別化を図る際に、一口に差別化といっても下記のようにさまざまな方法があります。
- 製品やサービスの機能を充実させて独自性を出すべきなのか(商品力)
- 認知度を高めてブランディング強化を目指すべきなのか(ブランド力)
- 効果的なマーケティング戦略の実施に注力すべきなのか(認知度)
どの戦略を取れば差別化戦略が成功するのかを特定し、それを指標として目標達成を目指すのがKSFです。
KSFを用いることで、成功に必要な要素や自社の解決すべき課題を発見整理することができ、より有効で具体的な戦略を立てられます。
OKR(目標と成果指数)
OKR(Objectives and Key Results)は日本語で「目標と主要な成果」という意味で、アメリカのインテル社で誕生した目標管理のフレームワークです。Objectiveとは目標、Key Resultとは目標達成を判断するための成果という意味です。
出典:HR NOTE
OKRの設定は非常にシンプルです。上の図のようにまず企業全体の目標を設定し、次に到達するために必要な成果を定め、そこから部署、チーム、社員個人の目標へと落とし込んでいきます。
たとえばObjectivesを「業界NO.1シェア獲得」に設定した場合、Key Resultは「売上◯◯◯◯万円を達成する」となります。その目標を達成するために「新規顧客を◯人増やす」「問い合わせ件数を◯件にする」「有効商談件数を◯件を目指す」などの目標が部署、チーム、個人に割り振られていきます。
OKRを設定すると個人と企業の目標がリンクされるため、組織力の強化を図りながら企業と個人との関係性の向上が期待できます。また従来の業績評価制度と異なり、OKRは目標設定、進捗確認、評価のサイクルが1ヵ月~4ヶ月と短く、短期間でスムーズに効果測定ができるのも強みです。
OKRとKPIはどちらもパフォーマンス管理の手法であることから混在されやすいですが、OKRは目標設定のフレームワークであるのに対し、KPIは目標達成に向けた進捗度を追跡計測する指標であることが大きな違いです。
KPI管理が必要な4つの理由
KPI管理を行う重要性について、4つの観点から解説します。
1.進捗状況の見える化
KPI管理を行うことで目標が可視化され、達成状況を定量的に把握することができます。進捗遅れなども早期に発見できるため、原因の特定や改善策の実行といった軌道修正も柔軟に行えます。
生産性向上の急務
少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業は限られた人員資源で収益を上げる生産性向上が求められています。今後も労働人口は減ることが予想されており、いまやどの企業においても生産性向上への対応は急務といえるでしょう。
KPI管理によって必要なタスクのみにリソースを集中できるため、従業員1人あたりの生産性を高められます。新たに人材を雇うことなく、社内リソースの有効活用が可能です。
ビジネス環境への対応
インターネットの発達やスマートフォンの普及に伴い、消費者の購買行動は大きく変化しました。「優れたモノ(製品)を作れば売れる」という企業が優位な時代は終わり、消費者が自ら欲しいタイミングで商品を選び取るという消費者優位の時代になったのです。技術の発展により良質な製品サービスが溢れ、機能や価格面での差別化が難しくなった今、企業が持続的に成長し続けるにはビジネス環境に応じた経営戦略が欠かせません。
適切なKPI管理の実施により、中長期の将来予測を行うことができます。目標達成に向けて必要な戦略を打ち立てられるため、目まぐるしく変化するビジネス環境にも迅速な対応が可能です。
働き方人材の多様化が進んでいるため
近年経済のグローバル化や女性の社会進出などの影響もあり、人材の多様化が重要視されています。またコロナ禍を契機に、働き方においても在宅勤務やフレックスタイム制度などを導入する企業が増えてきており、就業形態の多様化が進んでいます。
人材は大切な資源のひとつです。組織の利益を最大化するには従業員1人ひとりの性格や適性を分析し、能力を最大限に発揮できる部署に配置することが大切です。KPI管理は目標の達成度に応じて公平な評価を行えるため、的確な人員配置が可能です。
多様な人材を活かせる仕組みづくりを整えることで、社会的な評価や信用力が高まることから優秀な人材を獲得しやすくなります。
KPI管理の設定手順
ここからはKPI管理を行う際の設定手順について、5つのステップにわけて説明します。
1.KGIを設定する
まず最初に大目標となるKGIを設定しましょう。KPIはあくまで進捗度合いを計測するための中間管理指標です。最終目標となるKGIが適切でなければ、その後KPIでも思うような成果を発揮できません。組織の方向性を示すKGIを明確にすることで、プロジェクトが最終的に目指すゴールが見えてきます。
KGIを設定する際は、漠然とした目標や達成不可能な目標を掲げるのではなく、「来年までに売上1,000万円を突破する」といった、「いつまでにどのような数値を達成するのか」という具体的な期限数値を定めることが重要です。KGIの設定例としては、売上高や成約件数、利益率など客観的に数値化できるものが該当します。
2.KGIをベースにKPIを設定する
次にKGI達成に必要なKPIを設定します。たとえば売上をKGIに設定した場合、売上は「受注数×平均受注額(顧客単価)」で求められます。そのためKPIは「受注件数」および「受注単価」のそれぞれに割り振られます。
ここで確認したいのが、目標と現状のギャップです。KGIがあまりにも現状とかけ離れているのであれば、現実的なKGIに設定し直すのも一考です。高すぎる目標を設定してしまうと、KPIの成果もうまくいかなくなるだけでなく、目標未達成により従業員のモチベーションが低下する恐れもあります。
KPIを設定する際には、目標設定に役立つフレームワーク「SMARTの法則」を用いると、現実的かつ効果的なKPIを設定できます。
S:Specific(具体的な)……明確で具体的な目標
M:Measurable(計測可能な)……達成度合いを定量的に測定できる指標
A:Achievable(達成可能な)……現実的に達成できる指標
R:Relevant(関連した)……経営目標など企業に関連している
T:Time-bounded(期限を定めた)……目標達成までの期限が決まっている
SMARTの法則を活用することで、KPIの効果を高められます。
3.定期的な測定の実施
KPIの運用を開始したら、週次、月次、四半期などのタイミングを決め、定期的に指標を確認しましょう。社内やチームで検証する際は、事前にKPIの数値をグラフなど図式化しておくと、一目でKPIの進捗状況を把握できます。
KPIの数値が想定よりも思わしくなかった場合は、あらかじめ決めておいたリカバリー策を実施し、状況の改善に努めましょう。同時になぜ想定よりも数値が低いのかを話し合い、原因を特定する作業も大切です。KPIの設定に問題があるのか、あるいはKPI達成までのプロセスに問題があるのか、原因はさまざまであることが予想されます。
定期的な測定を通して、数値の可視化を行い、問題点の分析改善を積み重ねていくことがKPI達成への近道になります。
4.結果の検証
プロジェクトが終了したタイミングで、KPIの検証を行いましょう。KPI管理において一番重要なのがデータの集計と分析です。KPIの全体像を俯瞰して捉え、数値の変化によりどのような影響が起きたのかを追跡します。
振り返りの実施により、「KGIとKPIがうまく連動していなかった」「数値化できない部分もKPIに盛り込んでしまった」などの課題が出てくるはずです。問題点の洗い出しを通して、KPIの結果を客観的に検証でき、次回KPIを設定する際に役立ちます。
KPI管理のよくある失敗例
KPI管理は適切に運用できれば目標達成へのプロセスが明確になり、取るべき行動の可視化や、従業員の成長を促せるなどの効果をもたらしますが、適切な管理ができないと、失敗に終わることも少なくありません。ここではKPI管理で起こりやすい失敗例について紹介します。
KPIの指標が多い
KPI管理の失敗でよく見られるのが、KPIの数が多い点です。やみくもにKPIを増やしてしまうと、以下のような弊害が生じます。
- リーダーやマネージャーなどの役職者の管理負担が増える
- チームメンバーの行動にブレが生じる
- データの分析時に時間や手間がかかる
このようにKPIを細かくしすぎると、管理への負担が大きくなってしまい、KPI達成という本来の目的を見失ってしまいます。KPIはどんなに多くても3~5つ程度に絞り込み、誰が見ても把握できる指標にしましょう。
KPIに縛られすぎるあまり、顧客満足度や従業員のモチベーションが軽視されてしまい、従業員のモチベーション低下の原因にもつながりかねません。
KPI管理をスムーズに行うためにも、KPIは「部門でコントールしやすく」「変動幅がある」ものを選ぶのがおすすめです。
KPIが部署ごとに管理されている
KPIは各部署ごとに管理するのではなく、組織全体で管理するようにしましょう。KPI管理を各部署ごとで行ってしまうと、部分最適のKPI運用となり、組織全体の目標達成が難しくなってしまうからです。
また各部署がKPI管理を達成したとしても、他部署の未達成によって事業KPIが伴わず、頑張っても目標が達成できないという悪循環に陥ってしまいます。
KPI管理を行う際は、組織全体のKPIツリーを作り、組織一丸となって目標達成に向けたアクションを取れる仕組みづくりが大切です。
ビジネス環境が変わってもKPIを変更していない
KPI管理に失敗する例として、ビジネス環境への対応ができていないケースも多く見受けられます。KPI管理を行う中で、自社を取り巻く環境や市場が変化した場合は、KPIも連動して修正する必要があります。一度決めたKPIだからといって、そのまま調整や変更せずにいると、ビジネス環境とKPIの数値が乖離してしまい、KGIを達成できなかったり、市場競争に負けてしまう可能性も少なくありません。
KPIの強みは目標達成までのプロセスを軌道修正しながら進められる点です。最初に設定したKPIを無理して達成しようとはせず、状況に応じて柔軟にKPIを修正していきましょう。
KPI管理を成功させるポイント
ここまでKPI管理の失敗例をお伝えしてきましたが、KPI管理を成功させるにはどのような点を意識したらいいのでしょうか。本章では抑えておきたい3つのポイントを解説します。
KPIの運用ルールや体制を構築する
KPI管理を成功するカギは、組織全体の足並みをそろえて、全社一丸となって取り組んでいくことです。運用上の認識違いを防ぎ、明確な目標に向かって社内の意思統一を図るには、事前に運用ルールや体制を取り決めておくことが大切です。
運用ルールは主にKPIの進捗についての開示方法や、情報共有のルール、事業目標やKPIを見直すときのタイミングなどを確認しておきましょう。また外部環境や社内環境が変化した際のリカバリー策も用意しておくと、不測の事態に備えられます。
体制の構築にはさまざまな手段がありますが、各部門における責任者や管理者を決めておくとスムーズに運用できます。各KPIに明確な責任者を配置することで、進捗状況のチェックや分析改善活動がしっかりと行われ、強固なマネジメント体制が構築されやすくなります。
主要KPIに各部署の責任者を配置し、そのうえに全体を統括する担当者を別途配置するのが理想です。
数値だけでなく質もチェックする
KPIは定量的な数値が用いられるため、どうしても数字を意識しがちですが、質をチェックすることも大切です。たとえば売上高をKPIに設定しているのであれば、売上金額だけでなく、予算や成約率にも注目しましょう。結果ばかりにとらわれてしまうと、どうしてもその途中のプロセスがおざなりになってしまい、成果が出にくくなってしまいます。
予算が少ない場合は予算の確保、成約率が低いのであれば営業スキルを上げるロールプレイングの実施などを通して質の改善も同時に行っていきましょう。
ツールの活用
KPIの管理には エクセルで数値を入力したり、手動でデータを集計する方法があります。しかし、手動での入力は時間や手間がかかるうえに、入力ミスによるヒューマンエラーも発生します。そんなときに役立つのがデジタルツールです。KPIにまつわるデータを効率的に集計分析する機能が搭載されており、目標達成へのサポートを行います。
ツールにはさまざまなタイプのものがあり、KPI管理に特化したツールや顧客管理システムを備えたCRM、顧客情報の管理のみならず、新規顧客開拓をサポートする機能も搭載したMAツールなどがあります。
なかでもMAツールはWebマーケティングにおける見込み顧客の獲得から育成、抽出までを行うことができ、既存のマーケティング活動を自動化できます。クラウドサーカスが提供するMAツール「BowNow(バウナウ)」はBtoB企業向けに設計されており、シンプルな機能設計で「使いこなせる」MAツールとして多くの企業に導入されています。
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KPIの管理をエクセルで行っている企業も多くあると思いますが、入力に時間や手間がかかり非効率です。ツールを導入することで、入力の手間を削減し、KPI管理で生じる負担を減らせます。
まとめ|KPI管理を成功して目標達成を目指そう
本記事ではKPIの意味からKPI管理の設定手順、失敗しないポイントまで網羅的に解説しました。
KPI管理とは、企業の最終目標(KGI)を達成するために設定したKPIの進捗や達成を管理することです。ビジネス環境の複雑化や人材の多様化、生産性の向上が重要視されていることもあり、KPI管理の必要性は高まっています。
KPIは設定実行のみでは意味がありません。絶えず進捗を確認し、改善点を見つけ出し、次につなげていく作業が欠かせません。適切なKPI管理を続けることで、KGI達成に近づくでしょう。
もし、KPI・KGIの設計にお困りの場合は、ぜひクラウドサーカスにご相談ください。
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この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ
CMS BlueMonkeyメディア編集部
プロフィール
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまで2,300社以上のデジタルマーケティング支援を行ってきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱えるデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供し、そこから得たデータを元にマーケティング活動を行っている。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意領域で、目的から逆算した戦略的なCMS導入・Web制作や運用のサポートも実施。そこで得たノウハウや基礎情報を、BlueMonkeyのコラムとしても発信中。
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