「その機能、本当に要る?」CMSBlueMonkeyの顧客ドリブンな開発秘話(前編)
最終更新日:2024/05/20Webサイトのリニューアルを検討する際に必ず話題に出てくるCMSですが、正直なところCMSの違いってよく分からないですよね。
そのため、結局は制作会社のオススメしたCMSをそのまま使用してしまうことが多いのではないでしょうか。
ただ、長く運用を支援してきた立場から言えば、Web制作においてCMSの選定は非常に重要です。
使いやすさ、サポート、セキュリティ、拡張性などあらゆる観点から自社に最適なCMSを選ぶ必要があります。
制作会社も自社で構築しやすいCMSを選びがちなので、発注側も最低限はCMSに対する知識が必要です。
本日はそんなCMSについて、国内で1,600社が導入している弊社の独自CMS「BlueMonkey」の開発責任者に、これからのCMSに求められるポイントについてインタビューしてきました。
後編はこちら↓
「制作のエゴより更新者の利便性」CMSBlueMonkeyの顧客ドリブンな開発秘話(後編)
開発責任者:高松 隼人
経歴:1999年にデザインの専門学校を卒業。新卒として大手印刷会社傘下のデザイン会社に就職。その後はWEBサイト(CMS)制作を主事業とするデザイン会社の設立を経て、2012年にスターティアラボ株式会社にWEBディレクターとして入社。現在は自社プロダクト(BowNow、CMSBlueMonkey、Plusdb)の開発ディレクター。
インタビュアー:小木曽 一馬
経歴:2013年スターティアラボ株式会社に入社し、Web制作の営業に従事。その後カスタマーサクセスの立ち上げ、責任者を経験し、現在はCMSのパートナ開拓に注力中。
猿でも簡単に更新できるCMSの誕生
ーー本日は宜しくお願いします!CMSについて色々とお聞きしたいです!そして弊社のCMSBlueMonkeyと他社のCMSとの違いも改めて教えて欲しいです!
ありがとうございます。
これまでCMSBlueMonkeyの育ての親として、お客様に合わせたCMSの改善を重ねてきました。
自分で言うのもなんですが、もともとは単純にCMSを作るだけだったものを、より弊社らしく作ってきたつもりです。
今日は私が「BlueMonkey」にかける想いと、これまでどのような価値観で開発に取り組んできたかをお話ししたいと思います。結局はそこをお話しすることが、私が考えるCMSのあるべき姿にもつながると思うので。
ーー期待しかないです。
早速の質問ですが、「生みの親」ではなく「育ての親」として、引き継がれた段階で開発の方向性は決まっていましたか?当初は「単純にCMSを作るだけのものだった」、とありましたが。
いえ、最初は全く方向性も何も決まっておらず、ただ単に自社のCMSで、「猿でも使えるCMS(Blue”Monkey”の由来)」というキャッチコピーだけが決まっていました。言葉だけが先行しているイメージでしたね。
そのため、引き継いだときはまだまだ自己満足なCMSの印象だったのですが、実は私自身も開発は初めてだったので、何をどうすれば良いのかもわからなかった状況でした。
ーー自己満足...機能的に不十分だった、ということですか?
機能もそうですし、制作目線でも足りないところが多かったですね。
開発に異動になる前、私がまだディレクターだった際にも、BlueMonkeyで作れと言われたものの制作に必要なものが付いていなかったり、、制作の当たり前は当たり前ではなかったんだなと思いました。
ただ、元々の開発担当の者もそういった部分に対してレスポンスよく対応してくれてはいました。
システム畑の者だったので、現場の意見を最前線でわかっているという訳ではなかったのですが、意見を取り入れて反映してくれていましたね。
ーー確かに根っからのシステム畑の人と現場を知っている人では考え方に違いがありそうですよね。ちなみに意識していた他社のCMSとかってありました?
CMSで言えば、当時はWordPressは特に意識していて、でも正面からは勝てないという意識がすごかったんですね。
特にシェア率に関しては厳しいなと。じゃあそこで勝てないって時にどう戦っていくか、というところから始まりました。
それでCMSの価値を考えた時に、そもそも同じフィールドで戦おうとも思わなかったのと、勝てないから悪いものでもないよなっていう結論になったんです。
そこで考えたのが、更新担当者目線の利便性でした。もちろん世界的にあれだけ使われてるのでWordPressはいいツールではあるのですが、誰でも使えるものではないよな?というのはずっと思ってたんです。
前職でもワードプレスなどを使ってゴリゴリの制作をしていたけど、決定的に更新性も悪くて。知識ある人にはいいのですがそれ以外の人にはなかなか使えないなと思っていました。
CMSの目的はWebサイトの存在意義
ーーみんな当たり前にWordPressを使ってますけど、制作側は良くても利用者からしたらちょっとしたことでも難しかったりしますもんね。
昔に比べたらだいぶ良くなったのかもしれませんが、、ある程度は使う人を選ぶツールだと思います。
そうなんです。特に弊社の場合、Webサイトの更新担当のお客様自身が営業マンだったり総務の人だったりもして、Webサイトのことなんてわからない人たちが多く、更新作業すら簡単にはできなかったりする。
そうなると誰も幸せにならないし、このWebサイトはなんで存在してるの?となってしまいますよね。
CMSを使っている以上、更新担当者が自走しないと意味がないですし、更新自体そもそも請け負うべきではないのではと思っていたんです。
クライアントも更新のたびに依頼し費用や工数がかかるのが無駄で、制作会社もそこまで旨味がない。そこがずっと引っかかっていました。
結局双方が幸せにならないですよね。だからどんどん自分で更新できたほうが良いなとは昔から考えていたんです。
CMS BlueMonkey 更新イメージ↓
ーー確かに、いわゆる「マーケ担当」がいない会社も多いですよね。予算を取ってマーケ施策を回せる会社も増えては来ましたが、まだまだこれからだなと。
一方、昔からマーケに力をいれていたり、リソースが潤沢にある会社はどんどん最新の機能を期待しているイメージです。
まあ、リソースや予算が潤沢にある環境であれば、CMSもハイエンドの高価なものを入れれば良いと思います。世の中にはBlueMonkeyよりももっとハイスペックなCMSもあるので。
でも、BlueMonkeyは「猿でも使えるCMS」がコンセプトです。厳密にいえば簡単というより手軽という表現になるのですが、ある程度のことはできるし、最低限必要な部分はきっちり網羅するようにしています。
ただ「その先の機能って本当に要るの?」という問いかけは常に行っています。果たしてその機能をつけたところで、Web運用において本当に使えるのかと。クライアントの現場ベースの事情に合っているのかと。
この問いは社内の会議でもよく投げかけてますし、私自身も社長から言われたりもしますね。
ーー結局はゴールをどこに置くかですよね。「猿でも使えるCMS」というところに関しても、どうして猿でも使える必要があるのか。たくさん機能がついていても、目的に合わせてつかえますか?という話で。
ある意味BlueMonkeyは現実的なCMSなのかなと思いました。
そうかもしれませんね。結局使われないことには意味がないとは思っています。
あとは、どうやったら使ってもらえるか、どうしたら気にせず直感的に使えるか、更新者が一回聞いただけで使えるか、使う人に無理をさせないというのが理想だと考えています。
顧客の自走が双方の幸せに繋がる
ーー開発がそういう目線で考えてくださると営業やCSも助かります。
ちなみにそのあたりの価値観はディレクターをやってきたからこその視点なんですか?自身が制作に携わったお客様が更新をしてくれない理由とかも、制作者だと考えてしまうのかと思ったのですが。
この辺りは過去の原体験が関係しています。
もともとこの業界に入って最初のうちは、Webデザインやサイトの更新をやってたんですが、その頃からお客さんが勝手に更新ができるようになったら、自分の手も空くしお客さんも楽だなと思ったんです。
とにかく手離れをさせる。簡単なことだったらサイトを持ってる人が自分で更新していく方が、作業者からしても良い、という考えが未だに根底にありますね。そういう意味で更新をしてくれている、頑張ってくれている様子が見えると嬉しいんです。
”ツールが使いやすいから”という理由に直接は繋がらないんですけど、頑張って更新してくれてるのがわかるとこちらも糧になります。「バージョンアップをしたらまた更新をしてくれるかな?」などと考えるとやりがいになりますね。
だから本当に必要な作業だけに集中して欲しいですし、操作や機能はシンプルで直感操作ができるものが良いなと思っています。
ーー私もかつてカスタマーサクセス(既存顧客の運用サポート)をやってたので、CMSの使いやすさには助けてもらっていました。操作のところでモチベーションを落とされては辛いので、、
あと最近はBlueMonkeyのファンも増えてきて、CMS自体が愛されてきている気はしますね。現場に出ていると特に感じます。
本当に”必要な”機能に集中する
ーーちなみにCMSとして多機能/ハイエンドのものと比較されてしまうことも多いのですが、そこのところはどう考えてますか?
ハイエンドのCMSはどんどん機能が追加されますが、そもそも設定も大変ですし、先ほどもお伝えした通り「本当に必要なのか?」といった機能も多いんです。だからBlueMonkeyはいい感じのところに落とし込めるように考えています。
わかりやすい例で言えばワークフローですね。他のCMSでは承認権限が何段階にもなってたりするのですが、そこまで本当にいるのかという。BlueMonkeyのワークフローは未だにあえて2ステップまでにしています。
仮にマーケの組織が本当にしっかり存在していて、事業ごとの更新スキームがあって・・・みたいな状況ならわかりますが、なかなか少ないと思います。
そして、そういうところはBlueMonkeyのターゲットではない可能性もありますし、そこまでやるならサイト自体を分けちゃった方が良いのではと思います。
だから基本的には2ステップくらい組めれば十分だと思います。こういった要望はこれまで何回もありましたが、結果いらないっていう結論に至っています。
というかそもそもスピード感のある更新がCMSのメリットの1つなのに、ワークフローをガチガチに組んだら魅力も半減ですよね。
また代理店様向けの機能として、テンプレートの機能もつけています。SFTPなどでわざわざ接続して作るのではなく、そもそもテンプレートから作れても良いのかなという考えからです。
実は、これまで1,600サイト以上も作ってきた中で生まれた「ブロックダウンロード」っていうパーツ単位のテンプレートはすでにあって、それをサイト単位である程度テンプレートにしています。
ハイエンドのCMSのように自由にデザインできるものと、Wixみたいにガチガチでテンプレートで作っていくものの中間の機能ですね。お客様も更新が楽だし、代理店である制作会社様も構築が楽になります。
この辺りはうちのコンセプトに合っているのでどんどん開発を進めていますね。
ーー確かに、ツールが物足りずもっと機能が必要なら、ハイスペックなCMSを使えば良いんですよね。でも日本の多くの企業はまだそこまでWebマーケティングの体制が整っていない気もしています。
むしろ機能がありすぎるから何していいかもわからないし、「折角だから使わないと」と本質からずれていきそう。もっとシンプルで良いのに。
本質的にはCMSはWebサイトを更新するところだけに注力するだけでよいと思っていますね。
どうしても必要なものは当然あります。でも、「あったら良い機能」と「絶対必要な機能」は別次元なので、そこはしっかり線引きをして作っているつもりです。営業やCSも話ができているから成り立っているところもあると思いますが。
ーーそこはしっかりと営業が提案で伝えているから理解してもらえているところはありますよね。私もCSとしてクライアントのフォローをしているときにそう思いました。
CMSの利用者自身がほとんどの更新を完結できるので、ランニングコストがもだいぶ抑えられていると思います。ちょっと修正するのに結局依頼するのであればCMS入れる意味あったのってなっちゃいますよね。
ーーそこも1つのメリットですね!
<後編へ続く>
BlueMonkeyは制作会社のパートナーも募集中です。もしご興味がありましたら、お気軽にご連絡ください!
CMSBlueMonkey パートナープランはこちら
後編はこちら↓
「制作のエゴより更新者の利便性」CMSBlueMonkeyの顧客ドリブンな開発秘話(後編)