ABテストとは?やり方やメリット、役立つツールなどをわかりやすく徹底解説
最終更新日:2024/11/15デジタルマーケティングの現場で注目されている「ABテスト」は、ウェブサイトや広告などで複数のバリエーションを提示し、どちらがよ り良い結果を生むかを検証する手法です。
例えば、ボタンの色やメッセージの文言を少し変えるだけで、コンバージョン率が大きく変わることも珍しくありません。
ABテストは、少ないコストとリスクで確実なデータを基に意思決定ができるため、企業にとって非常に重要な施策とされています。ユーザーの行動を分析しながら改善を重ねることで、売上や収益の向上を図ることもできます。
本記事では、ABテストの基本的な概要から、種類、実施するメリット、具体的な方法までをわかりやすく解説します。ABテストの活用によって、効率的な改善施策を進める方法を学び、ビジネスの成果向上につなげましょう。
目次
ABテストとは?
ABテストは、ウェブサイトや広告などのデジタルコンテンツにおけるパフォーマンス向上を目的に、異なるバリエ ーション(A案とB案)を用意し、ユーザーの反応や成果を比較する手法です。WebサイトやWeb広告、LPなどの改善の際に取り入れられています。
具体的には、コンテンツのデザインや文章を少し変更した複数のパターンを提示し、どのバリエーションがより良い結果をもたらすかを検証します。ユーザーの行動分析ができるため、確実な改善に役立ち、効率的にコンバージョン率やクリック率を向上させることができます。
また、ABテストはサイト全体の改修ではなく、一部分だけを変更しながら効果を測定できる点も利点です。比較的低コストでリスクも少ない方法として、多くの企業に採用されています。
ABテストの種類
ABテストには以下の4つの種類があります。
- 同一URLテスト
- リダイレクトテスト
- 複数ページテスト
- 多変量テスト
各種類の概要と特徴について詳しく解説します。
同一URLテスト
同一URLテストは、ひとつのURL内で異なるコンテンツをランダムに表示し、ユーザーの反応を比較する手法です。例えば、同一ページ上で異なるデザインや文章を入れ替えて表示し、クリック率や滞在時間などのパフォーマンスを測定します。ABテストで最も一般的な方法として活用されています。
ユーザーのランダムな訪問時に異なるバリエーションが表示されるため、短期間で十分なデータ収集が可能です。操作が容易で、ページ全体を大きく変更する必要がないため、比較的導入しやすいテスト方法といえます。
リダイレクトテスト
リダイレクトテストでは、異なるURLのページ同士を比較します。ユーザーがAパターンのページにアクセスすると、設定に応じて自動的にBパターンのページへリダイレクトされ、各バリエーションごとの効果を検証します。
異なるレイアウトやナビゲーション構造など大規模な変更を試す場合に適しており、デザインやコンテンツを大きく変えた場合でも簡単にパフォーマンスの違いを把握できます。ただ、リダイレクト先のページを用意しなければならないほか、ソースコードの変更も行う必要がある点に注意が必要です。
複数ページテスト
複数ページテストは、Webサイト内の複数ページに対し、同時に異なるバリエーションを試す方法です。たとえば、トップページと商品ページの両方で異なるコンテンツをテストし、各ページ間の影響も含めた総合的な効果を確認することができます。複数のページが関わるコンバージョン率改善など、1ページだけではなく、複数のページで比較したい要素があるときや、大きな目的を持つ場合に適しています。
多変量テスト
多変量テストは、ひとつのページで複数の要素(見出し、ボタン、画像など)を同時に変更し、その組み合わせによる効果を検証します。要素ごとに最適な組み合わせを見つけるため、全体のデザインやレイアウトを包括的に改善したい場合に適した手法です。
どの要素がパフォーマンス向上に最も貢献したのかを明らかにできますが、一度に多くの仮説を検証するため、大きな労力がかかるという側面もあります。検証ユーザーの母数が少ないと正確に分析できないため、ある程度のトラフィック量が必要になります。
ABテストが必要な理由
そもそもなぜABテストが必要なのでしょうか?主な3つの理由を解説します。
Webサイトの精度向上による収益アップ
ABテストを行うことで、ユーザーの行動に基づいてWebサイトを改善できるため、精度が上がり、最終的に収益アップが期待できます。
ユーザーに最適なコンテンツやデザインを選び出すことで、Webサイトが一層使いやすくなるため、アクセス数増加や顧客満足度にもつながり、コンバージョン率の向上が見込めます。
コストを抑えて効果をあげられる
ABテストは、広告費用をかけることなく、データに基づいた最適な改善案を見つけ出せるため、低コストで効果を上げやすいという特徴があります。部分 的な変更だけでも高い成果が得られる可能性があり、大規模なリニューアルや高額な広告投資をする前に、確実な改善策を見つけられる点がメリットです。
成果が出やすい傾向が掴める
ABテストを繰り返し実施することで、ユーザーがどのようなパターンに反応しやすいかなど、成果が出やすい傾向が 見えてくるようになります。長期的な改善に役立てられるデータが蓄積され、さらなる施策に活用できます。こうした知見 の蓄積は、将来的なマーケティング戦略においても貴重な情報源となり、会社の財産となります。
ABテストを行うメリット
ABテストを行うことで得られる主なメリットを4つ紹介します。
同時並行で複数のパターンの検証ができる
ABテストでは、異なるバリエーションを同時にテストすることが可能です。2つだけでなく、同時に3つ以上のパターンを検証する こともできます。そのため、限られた期間内で効率的に結果を得ることができ、短期間で最適なバリエーションを特定できるという メリットがあります。例えば、ページのデザインとメッセージのどちらがユーザーに響くかを同時に確認できるため、改善プロセスのスピードも向上します。
短期間・低コスト
ABテストは、テスト結果が短期間で出やすいため、低コストで実施できるというメリットもあります。特に、限られた予算の中で成果を出す必要がある中小企業にとって、無駄な費用をかけずにコンテンツやデザインを最適化できる手法です。データに基づく改善を迅速に行えるため、スピード感を重視する企業にとっても有効です。
部分的改善ができる
ABテストはページ全体ではなく、特定の部分のみの変更を検証できる点も大きなメリットです。部分的な改善で あれば、サイト全体の大幅な改修に伴うリスクを避けつつ、ピンポイントで素早く、比較的簡単に行えます。
例えば、ボタンの色やサイズなどの細かい変更をテストするだけでも、ユーザーの行動に変化が出ることが多々あります。初めてABテストを実施する場合は、部分的な改善から取り組むのがおすすめです。
正確なデータをもとに意思決定ができる
ABテストの結果は定量的なデータとして取得できるため、推測に頼らずに正確な判断が可能です。主観ではなく、数字に基づいた判 断の根拠に基づいて意思決定が行えるため、施策の透明性が高まり、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
結果に自信を持って施策を進めることができるほか、感覚的な判断に頼ることがないため、大きく仮説を外すことがないという点もABテストを行うメリットです。
ABテストのやり方
ABテストの進め方を4つのステップに分けて解説します。
1.ABテストを行う目的を明確化する
まず、ABテストを実施する目的を明確化することが重要です。たとえば「コン バージョン率を上げたい」「サイトの滞在時間を延ばしたい」など、具体的な目標を設定しましょう。目的を明確にすることで、テストの方向性が定まり、適切なバリエーションを用意することができます。
2.仮説を立てる
次に、実施するABテストごとに「ボタンの文言を変えればクリック率が上がる」といった具体的な仮説を設定します。仮説が具体的 であるほど、テスト後の分析が行いやすくなり、改善ポイントを明確に絞ることが可能です。
仮説を立てる際は、実際のデータを活用する必要があります。実際の情報を活用することで家族が妥当され、より精度の高い実験を行えます。
3.テストを実施する
仮説を立てたら、テストを実施します。データ計測環境を整えたうえでサンプル数や期間を設定して、十分なデータが集まるようにし ましょう。必要に応じて、異なるバリエーションを並行して実施することで、より精度の高い結果が得られます。
自力でテストを構築することも可能ですが、サンプル数が多い場合は難しく、労力や時間もかかります。その際は後述するABテストツールを用いるのも一つの手です。
4.分析データをもとにPDCAを回す
テストが終了したら、収集したデータを分析し、PDCAサイクルを回します。結果を評価し、改善点を見つけるなどして次のテストに活用することで、継続的な改善が図れます。PDCAのサイクルを繰り返すことで、サイト全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
ABテストを行う際のコツ・注意点
ABテストを行う際のコツや注意点は以下の4つです。
2週間以上の検証期間を設ける
「同じ時期・1つの要素」で検証する
複数サンプル数を用意する
良い結果だけが出るわけではないと理解する
それぞれ詳しくみていきましょう。
2週間以上の検証期間を設ける
ABテストを実施する際は、2週間以上の検証期間を確保することが推奨されます。短期間では十分なサンプル数が集まらない場合が多く、信頼性のあるデータを得られない可能性があるためです。逆に、アクセスの多いWebサイトの場合は短期間でも十分なデータを獲得できる場合もありますが、基本的に長期間のデータ収集を行うことでデータが集まり、より正確な分析を行うことができます。
「同じ時期・1つの要素」で検証する
ABテストは、検証期間中に外部要因の影響を受けにくいよう、「同じ時期に1つの要素のみを変更」して行うことが重要です。
たとえば、異なる季節やタイミングでABテストを実施すると、結果に偏りが生じることがあり、正確な効果が測定できなくなります。複数の要素を同時に比較すると、どの要素が結果に対して影響を与えているのか把握するのが難しくなるので気をつけましょう。
複数サンプル数を用意する
信頼性の高いデータを得るためには、一定のサンプル数が必要です。サンプル数が少ないと誤差が生じやすくなり、結果に偏りが出る可能性があります。十分なサンプル数を確保してテストを実施しましょう。
具体的に、Webサイトの検証の場合は、最低でも2000以上のCV数が必要になります。ただ、ユーザー数が限られているメルマガの検証などによっても必要なサンプル数は異なります。
良い結果だけが出るわけではないと理解する
ABテストでは、常にポジティブな結果が得られるわけではないということを覚えておきましょう。ABテストを実施したことで、成果が下がってしまう可能性もあります。
予想に反する結果が出ることもありますが、それもまた貴重なデータです。失敗を恐れず、改善の機会として捉えることが大切です。
ABテストに役立つおすすめツール4選
ABテストは自力でも行えますが、専用のツールを活用するのがおすすめです。本章ではABテストに役立つおすすめツールを紹介します。
BlueMonkey(ブルーモンキー)
クラウドサーカス株式会社が提供するBlueMonkey(ブルーモンキー)は、BtoB企業向けに開発されたCMSです。単なるサイト制作ツールにとどまらず、Webマーケ ティング戦略の支援も提供しており、専門家によるサポートを受けながらABテストを実施することができます。
シンプルでわかりやすい機能で構成されている点が特徴で、初心者でも比較的簡単に使えます。初めてABテストを実施する際などは、万全のサポート体制を受けながら取り組むことができるため、特におすすめです。
Juicer
Juicerは、ABテストやWebサイトのユーザー分析、顧客のロイヤルティを図るNPS調査などを行える無料ツールです。W ebサイトを訪れた各ユーザーの属性やWeb履歴、興味・関心などを分析し、ユーザーニーズを細かく調べることができます。
特に最短1分でABテストを実施できるのが大きな魅力で、条件の設定やクリエイティブの登録なども、クリック操作のみで簡単に行えます。ただ、多変量テストには対応していないため注意が必要です。
SiTest(サイテスト)
SiTest(サイテスト)は、Webサイトのアクセス解析や改善機能を統合した国産のランディングページ最適化ツールです。ABテストをはじめ、ヒートマップやフォーム最適化、パーソナライズ機能など、サイトの収益最大化を図るための機能が備わっています。
また、再生機能・行動録画などを活用したサイト訪問者の行動解析ができるのが特徴です。ページ内のユーザー動向を詳細に把握でき、ABテスト結果の分析をさらに精密に行うのに役立ちます。
Optimizely(オプティマイズリー)
Optimizelyは、幅広いテスト機能を提供するABテストプラットフォームです。直感的なUIで誰でも簡単にABテストを実施することができます。特別なコーディングスキルが不要なのも魅力です。
機能が豊富で外部サービスとの連携もできるほか、大規模なテストにも対応しており、企業の成長段階に応じた柔軟な運用が可能です。短時間でテストを実施できるほか、組織全体でプログラム管理を行えるため、より効果的にサイト最適化を実施可能です。
まとめ
本記事では、ABテストの基本的な概要から、種類、実施するメリット、具体的な方法を解説しました。
ABテストは、企業のデジタル施策において、ユーザーの行動データに基づく改善を実現する重要なツールです。具体的なテスト手法や活用ツールを選び、適切に実施することで、収益アップやマーケティング効果の向上が期待できます。効果的なテストを通じて、最適な施策を見つけ出しましょう。
ABテストを実行するにはBlueMonkeyを利用しながら、Webマーケティングのプロと一緒に実行するのがおすすめです。
クラウドサーカスでは、BtoBの中小企業のお客様を中心に、さまざまなWebマーケティングサービスを展開しています。Webサイトの制作以外にも困りごとがありましたら、お気軽にご連絡ください。Webマーケティングのプロが、戦略立案から改善まで適切なアドバイスをさせていただきます。
ご興味のある方は、ぜひWebコンサルサービス概要資料をご覧ください。
この記事を書いた人
クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ
CMS BlueMonkeyメディア編集部
プロフィール
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまで2,300社以上のデジタルマーケティング支援を行ってきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱えるデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供し、そこから得たデータを元にマーケティング活動を行っている。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意領域で、目的から逆算した戦略的なCMS導入・Web制作や運用のサポートも実施。そこで得たノウハウや基礎情報を、BlueMonkeyのコラムとしても発信中。
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